今回は、ジッサイに海水水槽を立ち上げる様子について紹介します。
本記事で分かること
・海水水槽をジッサイに立ち上げる方法
立ち上げに必要な道具
まず立ち上げに必要な物をまとめます。
・水槽
・水槽台
・フィルター
・サンゴ砂
・人工海水・比重計
・カルキ抜き
・ライト
・ライブロック
最低限必要な物はこんな感じです。
これらのそれぞれについての詳しい説明は▼コチラの記事でお話ししているので、本記事で詳しい解説は省きます。
ジッサイの立ち上げについて
ここからはジッサイの立ち上げの手順をお話しします。
水槽台を組み立てる
小型水槽なら必要ありませんが、45cm水槽より大きい水槽では、専用の水槽台を使うことをおすすめします。
水槽は30cm水槽でも20kg以上、45cm水槽なら40kg近く、60cm水槽なら60kgは超えてきます。なので専用の水槽台に置かないとゆがみで水槽が割れてしまう可能性があるんです。
この後水槽を洗って水槽台の上に設置するので、その前に水槽台を組み立てておくと後が楽です。
水槽とサンゴ砂を洗う
次に水槽とサンゴ砂を洗いましょう。
水槽は出荷時のままだと何か変なものがついているかもしれないので、水道水で洗い流して変なものがついていないようにします。
サンゴ砂は浮いてくるゴミや濁りが減ってくるまで、手でこぐようにしてしっかり洗います。
10回くらいすすいでやるとすすいだ時の水がだいぶ透明になってきますが、完全に透明になることはないので適当なところで終わりにしましょう。
水槽にサンゴ砂を敷く
次に水槽に洗ったサンゴ砂を敷いていきます。
特に気をつける点はないです。
人工海水を水槽に注ぐ
次に人工海水を作ります。カルキを抜いた水道水に人工海水の素を比重計で測定しながら溶かしていき、比重は最終的に「1.023」に合わせましょう。
比重は1.023を基準として1.020~1.027くらいまでなら問題ないので、海水魚飼育を続ける中で自分の水槽に合った比重を見つけていけばOKです。
完成した人工海水を水槽に注いでいけば完了です。
この際になるべく砂が舞わないようにできるとベストです。何かビニールの袋などを砂の上に敷いて、その上に海水を流すようにすると砂が舞いにくくなるのでおすすめです。
フィルターの設置
海水を水槽にそそいだら、外掛けフィルター、外部フィルター、上部フィルターなど、用意したフィルターを設置しましょう。
▼海水水槽のフィルターの選び方
フィルターに入る分の海水が水槽から減るため、その分は適宜人工海水を作って補充しましょう。
ろ材については純正の物のみでも問題ありませんが、バクテリアが繁殖するためのリングろ材など多孔質のものがあるとなおよいです。
我が家の小型海水水槽に使用している外掛けフィルターには、純正ろ材ではなく多孔質のセラミックろ材を入れています。
ろ材の中でも特に立ち上げにおすすめなのは「バイコムバフィ」。
バフィは表面積こそ大きくないものの、バクテリアの吸着率が高くて吸着速度も速いので、新規水槽の立ち上げにはもってこいの商品です。
ライブロックを入れる
人工海水を入れてフィルターを回したら、ライブロックを入れましょう!
キュアリング※は行ったほうがよいと言えばよいですが、個人的には新規水槽の立ち上げ時に限ってはやらなくてもいいとは思います。
ライブロックはなんの生きものもいない海水水槽に、海の生態系を持ち込んで水槽環境を安定させるために入れるものです。
それに対してキュアリングは水槽環境に馴染めない生きものや、水槽に入ってしまうと有害になってしまう生きものを取り除くために行うのですが、その分水槽に有用な生きものまでそぎ落としてしまうデメリットがあります。
なので私は新規水槽の立ち上げ時(お魚を入れる前)に限ってはキュアリングをしなくてもいいとは考えています(逆に言えば、すでに生体がいる水槽にライブロックを追加するときはキュアリングをしっかりしたほうがいいです。)。
※用語解説 ~キュアリング~
キュアリングとは、バケツなどに新鮮な海水(人工海水でいい)とライブロックを入れ、ライブロックの下からエアーをぶくぶくとさせて水流を起こし、水槽環境に馴染めない生きもの(二枚貝など)や、水槽に入ってしまうと有害な生きもの(シャコ、ウミケムシなど)を取り除くために行う行為です。
期間はまちまちですが数日~1週間程度、海水が汚れるため水換えを毎日行います。海水が濁らなくなれば完了です。
バクテリア剤(あればでいい)を入れる
「ろ過※」というと、目の細かい布などに水を通してゴミをこしとることを想像する方も多いかもしれませんが、海水水槽でメインとなる「ろ過」はバクテリアが担う「生物ろ過」です。
生物ろ過はバクテリアによるろ過の仕組みで、フィルターのろ材にこのバクテリアがしっかりと繁殖していることが「水槽が立ち上がっている」指標になります。
そのためバクテリア剤を投入することで、水槽の立ち上げをより早く、安定したものにすることが可能です。
おすすめは上にも写真を載せたGEXさんの「サイクル」。有害なアンモニアを分解してくれる「硝化菌」がたっぷり入っていて、水槽の立ち上げ能力が非常に高いです。
▼海水水槽におすすめのバクテリア剤(用途別)
※用語解説 ~ろ過~
水槽におけるろ過には
1.ゴミを直接こしとる「物理ろ過」
2.有害な成分や黄ばみを吸着する「化学ろ過」
3.有害なアンモニアをバクテリアが分解する「生物ろ過」
があります。
このうち海水水槽で最も重要なのが「生物ろ過」で、フィルターに入れたろ材に繁殖させたバクテリアが、お魚の排せつ物から発生する「アンモニア」をより無害な「亜硝酸」へ、その後さらに「硝酸塩」へと分解していくことで安全な水質を保ちます。
「硝酸塩」も全くの無害ではないので最終的には水換えで排出します。
ライトを設置
購入してあれば、この辺りでライトを設置して点灯確認。
いい感じですね!
水質検査をする
意外と忘れがちなのですが、水質検査は立ち上げ時にとっても大事な手順です。
立ち上げ時に注意しておきたいのが「アンモニア」「亜硝酸」「硝酸塩」です。
ライブロックを用いた水槽の立ち上げの場合、通常2週間から1か月程度かけて
1.「アンモニア」「亜硝酸」「硝酸塩」ともに出ていない。
2.「アンモニア」が出てくる。
3.「アンモニア」が出ていて、「亜硝酸」が出てくる。
4.「アンモニア」が減り、「亜硝酸」が出ていて、「硝酸塩」が出てくる。
5.「アンモニア」がわずかになり、「亜硝酸」が減り、「硝酸塩」が増えてくる。
6.「硝酸塩」のみが出ている。
という過程を踏んで立ち上がっていきます。ちなみに安全にお魚を入れられるのは5か6の状態くらいです(万全を期すなら6)。
この変化を調べるために、安い試験紙タイプのものでもよいので、立ち上げの過程で水質検査を行いましょう。
待つ
最ももどかしくてつらいのがこの時間。
1日~2日に1回くらい水質測定をしながら、しっかりと水槽が立ち上がるまでは待ちます。とにかく待ちます。
それはもうジンベエザメのようにどっしり構えて待ちましょう。
お魚を入れたい気持ちは痛いほどよくわかるのですが、しっかりと立ち上がっていない水槽にお魚を入れてしまうと逆に弱らせてしまう結果になりかねません。
そのためお魚はしっかりと立ち上がってから入れることをおすすめします。
水槽のサイズにもよりますが、海水水槽であれば立ち上げにかかる期間は通常2週間~1か月程度です。
何気に、この期間に毎日チャームさんなどを眺めながら待っているのもそれはそれで楽しいです(笑)
生体を入れる
水槽が立ち上がったら、待ちに待った生体の追加です!
軽く水合わせ※を行って生体を水槽に入れましょう!
生体を入れたら、ついにあなたの海水魚飼育ライフの始まりです!
※用語解説 ~水合わせ~
水合わせとは、お魚を水槽に入れる際にお店の海水と自宅の海水の水質変化でダメージを受けてしまわないように、徐々に自宅の海水に慣らしていくことを言います。
丁寧に行いたいときに使う方法として「点滴法」があります。
これはお魚が入った袋の海水をお魚ごとバケツなどの容器に出し、そこに自宅の水槽の海水をエアチューブを使って水滴が滴るように落とし、30分以上の長い時間をかけて行う方法です。これは水質変化に弱いエビなどの甲殻類を導入する際におすすめです。
海水魚の多くは丈夫なのでいきなりドボンでなければ大丈夫。お魚が入った容器に自宅の水槽の水をカップなどで注いでいって、倍から3倍の水量になったらお魚をすくって水槽に入れるような形の軽い水合わせでも問題ないことが多いです。
海水魚飼育を楽しもう!
あなただけの海水水槽、立ち上げられましたでしょうか。
これからも悩むことはたくさんあるかと思いますが、その経験が、その先の海水魚飼育に生きてきます。
まだ海水魚飼育歴2年半(本記事執筆当時)の私が言うのも変ですが、海水魚飼育は「経験」が非常に大事な趣味だなとも思います。
「MarineLovers」では私たちの経験を皆さんに活かしていただけるような記事を書いていくつもりです。
なので皆さんが何かを検索した際に我々の記事がヒットした暁には、ぜひご一読いただけますと嬉しいです。
皆さんの海水魚飼育ライフが楽しいものになりますように…!
まとめ
今回は初心者さん向けに、海水水槽の立ち上げ方について紹介しました。
この記事が皆さんの海水水槽の立ち上げのお役に立てれば幸いです!
▼海水水槽を立ち上げるときに必要なもの
▼小型水槽で海水魚を飼育したいときに気をつけること