今回は海水水槽で飼育できるイソギンチャクをまとめてご紹介します。
本記事で分かること
・イソギンチャクとは
・海水水槽で飼育できるイソギンチャクとそれぞれの特徴
イソギンチャクとは?
イソギンチャクはどんな生きもの?
イソギンチャクはサンゴやクラゲと同じ「刺胞動物」の仲間。
イメージとしてはクラゲを上下逆さに置いて、触手を上に向けた感じ。机に置いた茶碗のふちに触手が生えているような感じを想像していただければわかりやすいと思います。
海水水槽で飼育できるイソギンチャクのほとんどはサンゴと同じように褐虫藻を持っており、光合成ができます。
そのため飼育にはサンゴと同じようなライトが必要で、エサは与えなくても飼育できます(与えることもできます)。
魚は食べられてしまう?
この部分が気になる方も多いかと思いますので結論から言います。
ほとんどのイソギンチャクでは魚もエビも貝も食べられません!
確かにイソギンチャクは刺胞といって毒を持ちますが、一部のイソギンチャクを除いて刺胞毒は非常に弱く、基本的に水槽内で元気に泳いでいるお魚が食べられてしまうことはありません。
ただ弱った魚や脱皮直後のエビなど、特殊な状況下では食べられてしまう可能性もあります。
しかし「ハタゴイソギンチャクの仲間」にだけは注意が必要です。
ハタゴイソギンチャク、イボハタゴイソギンチャク、アラビアハタゴイソギンチャクなどのハタゴイソギンチャクの仲間は人間が刺されてもひりひりするくらいの強毒を持つので、魚が触ってしまうとひとたまりもありません。
そのため水槽にハタゴイソギンチャクの仲間を入れたい際には、クマノミ以外の魚は食べられてしまう可能性があると常に頭に入れたうえで飼育を行うことになります。
ちなみに他のイソギンチャクは人が触っても本当に何もないですし、魚が食べられてしまったりすることもまずないです。
我が家ではしばらくサンゴイソギンチャクとデバスズメダイやベラを混泳させていたことがありましたが、結局食べられることはありませんでした。
総じて「ハタゴイソギンチャクの仲間だけ注意は必要。ほかのイソギンチャクはまず問題ない。」ということになります。
海水水槽で飼育できるイソギンチャク
それではここから海水水槽で飼育できるイソギンチャクをご紹介していきます!
サンゴイソギンチャク
サンゴイソギンチャクは海水水槽で飼育できるイソギンチャクの中でも代表的な種類。
触手の先端に縦のラインが走っており、ぷくっと膨らんでいることが多いのが特徴。
水質の悪化に強い、そこまで強い光を必要としないなど基本的に飼育しやすく、さらに値段も安く、グリーンやピンクチップなど美しい個体も多いので人気の種類です。
めちゃくちゃ移動しやすいという特徴を持ち、気にいる場所が見つかるまで動き回るので飼育時には注意が必要です。
自然界ではクマノミ(カクレクマノミではない)が共生しており、水槽内でも共生させることができます。
カクレクマノミとの相性はあまり良くなく、共生するかどうかは個体によります。
シライトイソギンチャク
シライトイソギンチャクはその名の通り白い糸のような触手をもつイソギンチャクです。
触手の先端にピンクや紫のチップがついている「チクビイソギンチャク」もシライトイソギンチャクと混同して販売されていることが多いです。
比較的丈夫かつそこそこの強さの光量で飼育でき、イソギンチャクの中ではノーマルな種類といえます。
自然界ではハナビラクマノミと共生していることが多く、クマノミとも共生します。
こちらもサンゴイソギンチャクと同様にカクレクマノミとの相性はそこまで良くありません。
そうめんのような白さが特徴…かと思いきや褐虫藻の影響でやや茶色やグレーがかった色をしています。むしろ真っ白い個体は褐虫藻が抜けてしまって弱っている個体なので、購入時には注意が必要です。
タマイタダキイソギンチャク
タマイタダキイソギンチャクはその名の通り触手の先端が玉のように丸くなっているイソギンチャクです。
こちらもまあまあ丈夫で、イソギンチャクの中ではノーマルな種類のひとつ。
また水流が好きでやや移動しやすいという特徴があります。
自然界ではハマクマノミと専門に共生しています。ハマクマノミ以外と共生しているのは見たことがありません。
カクレクマノミにあえて共生させる必要はないかなと思います。
先端が玉みたいに膨らんでいる様子がかわいいので、ハマクマノミとセットで飼育すると愛らしい水槽を演出できるかもしれません。
ロングテンタクルアネモネ(マバラシライトイソギンチャク)
ロングテンタクルアネモネは和名をマバラシライトイソギンチャクといいます。長い触手を持つことからこの名がついたのでしょう。
飼育は難しくないとされています。赤や緑などのカラーバリエーションを持つこともあり、身体の中心に向かうラインが入るなど鑑賞性に優れたイソギンチャクです。
自然界ではクマノミやトウアカクマノミが共生します。
カクレクマノミは自然界では共生しませんが、水槽内では共生する可能性もそこそこあるようです。
見た目のバリエーションの多さや飼育しやすさの観点からも、割とおすすめのイソギンチャクと言えるかもしれません。
センジュイソギンチャク
センジュイソギンチャクは1mを超すこともある大型のイソギンチャクです。
飼育は比較的難しいとされており、ある程度清浄な水質とそこそこの強さの光が必要です。
移動もしやすいとされており、大型に育つことも併せて飼育しやすい種類とは言えないかもしれません。
自然界では主にカクレクマノミやハナビラクマノミと共生し、セジロクマノミと共生することもあります。
水槽内でもカクレクマノミとの組み合わせがおすすめですが、最終的にかなり大きくなることや移動することも含めて大型の水槽での飼育がおすすめですね。
ハタゴイソギンチャク
ハタゴイソギンチャクも大型になるイソギンチャクで、海水水槽で飼育できるイソギンチャクの中でも強い刺胞毒を持つ仲間です。
入荷時点の状態にばらつきがあることが多く、導入に失敗しやすいことから飼育が難しいと言われがちです。
実際、飼育には比較的清浄な水質と強力な光が必要とされており、確かに初心者向けではないかもしれません。
自然界では主にカクレクマノミと共生しています。またアカホシカニダマシやエビの仲間など、多くの生きものから住みかとされるイソギンチャクです。
カクレクマノミとセットで飼育するならこのイソギンチャクが最もおすすめです。
ただひとつの懸念が、刺胞毒が非常に強く、他の魚に触手が触れると捕まってそのまま食べられてしまうことが頻発します。
イボハタゴイソギンチャク
イボハタゴイソギンチャクはハタゴイソギンチャクの仲間で、こちらも大型になる種類。ハタゴよりも触手が短くイボのように見えることが特徴です。
飼育はハタゴイソギンチャクと同様にやや難しいとされています。
他のイソギンチャクと異なり、岩礁地帯ではなく砂地に住む生態があります。砂中の岩などの基質に活着して砂の上にポツンと花が咲いたような形で生活します。
自然界ではトウアカクマノミとほぼ専門に共生します。クマノミと共生することもあるようです。
水槽内でこのイソギンチャクを飼育する際も、トウアカクマノミとの組み合わせになるでしょう。
水槽では底砂の下のガラス面に活着し、さらに一度活着してしまえば移動性も高くないので、実はおすすめの種類だったりします(トウアカかノーマルのクマノミを共生させることになりますが)。
アラビアハタゴイソギンチャク
アラビアハタゴイソギンチャクは上2つと同様大型になるハタゴイソギンチャクの仲間です。
飼育は他のハタゴの仲間と同じくやや難しいとされています。
ハタゴとイボハタゴは結構違うので見分けられるのですが、イボハタゴとアラビアハタゴは似ているので、正直私は見分けられません。
自然界ではセジロクマノミがほぼ専門に共生します。水槽内で組み合わせる際もこの組み合わせになるでしょう。
アラビアハタゴはイボハタゴとは異なり、普通のイソギンチャクらしく岩礁地帯に生息します。
住んでいるクマノミも「イボハタゴにはトウアカ」、「アラビアハタゴにはセジロ」としっかり決まっているので、見た目は似ていても生息地や住んでいるクマノミで見分けることができます。
おすすめはどれ?
初めてイソギンチャクの飼育に挑戦したい
とにかくイソギンチャクの飼育に挑戦してみたい!という方には、難易度低めな「サンゴイソギンチャク」「シライトイソギンチャク」「タマイタダキイソギンチャク」「ロングテンタクルアネモネ」辺りがおすすめ。
クマノミ類との共生の相性や見た目、移動性などを総合して考えると、個人的には「ロングテンタクルアネモネ」が最もおすすめかなと思います。
カクレクマノミとの共生を楽しみたい
カクレクマノミとの共生を楽しみたい!という方には「ハタゴイソギンチャク」が最もおすすめですが、他の魚を水槽に入れられなくなってしまう可能性あります。また飼育環境の用意や個体の状態の良し悪しもあるので、いきなりハタゴとなるとややハードルもありますね。
そう考えると「サンゴイソギンチャク」「ロングテンタクルアネモネ」も選択肢になってくるかもしれません。ただカクレクマノミが共生してくれるかは個体次第になります。
その他の場合
「センジュイソギンチャク」は特別な理由がない限りはあまりおすすめではないですね。値段や流通量、飼育のしやすさなどから考えても個人的には「それハタゴでよくね?」と思えてしまいます。
「シライトイソギンチャク」「タマイタダキイソギンチャク」「イボハタゴイソギンチャク」「アラビアハタゴイソギンチャク」はほぼ専門に共生するクマノミがいるので、その組み合わせを試したいときにおすすめです。
まとめ
*イソギンチャクは刺胞動物。サンゴやクラゲの仲間
*ハタゴイソギンチャクの仲間以外は魚を食べてしまうことはほぼない
*超有名入門種「サンゴイソギンチャク」
*そうめんみたい「シライトイソギンチャク」
*先端の玉がかわいい「タマイタダキイソギンチャク」
*意外とおすすめ?「ロングテンタクルアネモネ」
*千手観音「センジュイソギンチャク」
*カクレクマノミといえば「ハタゴイソギンチャク」
*砂地に暮らすトウアカ専用機「イボハタゴイソギンチャク」
*ほぼ売ってない「アラビアハタゴイソギンチャク」
今回は海水水槽で飼育できるイソギンチャクを8種類ご紹介しました。
どのイソギンチャクも特徴を持っており、クマノミと組み合わせて楽しめる種類も多いので、皆さんもぜひ飼育を楽しんでみてください!