イソギンチャクモエビはマリンアクアで飼育できるエビの仲間の中でも、とびきりマスコット感が強くとってもかわいい生体です。
今回はイソギンチャクモエビの飼育法とその際の注意点についてお話しします。
本記事で分かること
・イソギンチャクモエビの特徴
・飼育に必要な環境
・イソギンチャクモエビの飼育法
・飼育の注意点
イソギンチャクモエビの飼育まとめ
イソギンチャクモエビの飼育について簡単にまとめてみました。
水槽の大きさ | 30cm水槽~ むしろ小さいほうがいい(理由は後述) |
---|---|
環境変化に強いかどうか | 強くはないが弱くもない |
水温 | 25℃ |
食性 | 雑食だが特にエサを与える必要はない |
性格 | おくびょう |
魚や他の生体との相性 | 他種:ベラ類、ゴンべ類、フグ類、カワハギ類などとは不可 同種:特定条件下でのみ注意 |
サンゴとの相性 | 極めて良好 |
特記事項 | 飼育にイソギンチャクは必要ない 腰フリフリがかわいい |
これらについてこの先でお話ししていきます。
イソギンチャクモエビの特徴
イソギンチャクモエビの見た目
大きさは最大でも1センチほどです。
茶色がかったオレンジのような色合いに白色の水玉が入ったような見た目です。
まず見た目からしてかわいいのですが、イソギンチャクモエビは危険を感じると威嚇のつもりなのか、その尻尾を振り上げて腰をフリフリとします。
これがかわいいんですよ…!
かわいいんですよ…!!!
こちらのフリフリ動画を見つけました!1分くらいで短いのでぜひ。45秒くらいからの高速フリフリがめっちゃ可愛いです。
水槽内でもイソギンチャクモエビをのぞき込んでやるとびびってなのか高速フリフリをします。
繁殖
オスとメスが同じ水槽にいる状態で調子よく飼育していると、水槽内でも繁殖するようです。
実際に水槽内でも累代繁殖ができているという方もいらっしゃいます。
このレベルに行くには水槽内に捕食者が多くないなど、相当いい環境でないといけないと思いますが、水槽内で繁殖してくれたらうれしいですよね!
イソギンチャクモエビを入手する
イソギンチャクモエビは海水魚を販売しているショップや通販などで購入できます。
入荷は多いようには感じませんが、通販や店舗でもちょくちょく入荷している様子をみます。値段は1匹数百~1000円くらいで比較的安価で購入できることもおすすめの理由ですね。
基本的には丈夫ですので、通販での購入でも弱ってしまうようなことはあまりありません。
イソギンチャクモエビの飼育について
必要な水槽の大きさ
イソギンチャクモエビはそもそもの大きさが小さいので、販売されている個体は知る限りすべてが1センチ程度のとっても小さな個体です。
非常に小さいので、飼育は30cmキューブ水槽でも問題なく可能です。
というかむしろ、大きな水槽で複雑な岩組みがしてあるとなかなか姿を見ることができないので、観賞価値を重視するなら小型水槽での飼育がおすすめです。
我が家では1匹のみを45cm水槽で飼育していましたが、それでも1日1回姿を見られるかなあといった感じでした。
後述しますが同種混泳は問題ないので、大きめの水槽なら複数飼育がおすすめですね。
イソギンチャクは必要?
結論から言ってしまえば、
必要ありません!
イメージとしては、カクレクマノミの飼育にイソギンチャクが必要ないのと同じですね。
またイソギンチャクモエビはソフトコーラルに乗っている様子がよく観察できます。
我が家で特に人気だったのはスターポリプで、ずーっと乗っかっていました。
イソギンチャクの触手にスタポのポリプが似ているように感じるのかもしれませんね。
イソギンチャクモエビ自体が小さくて軽いからか、スタポが嫌がるような素振りはなく乗られてもふつうにポリプを開いていました。
食性・エサ
雑食性です。
水槽内ではコケや魚のエサの残りを食べていると思われます。
ジッサイに隔離水槽でお魚のエサ「シュアーR」をあげてみたところ、脚で抱えて食べていました。
またよくエビ類に期待される「お掃除能力」ですがそもそも食べる量がとっても少ないため、はっきり言って全く期待できません!
したがってイソギンチャクモエビを飼育する際は完全にマスコット的な飼い方になると思います。
しかしこのため、イソギンチャクモエビのためにあえてエサを与える必要はありません。
本当に自由気ままに、勝手に、水槽内で生きています。
そんなに例はないと思いますが、もしイソギンチャクモエビのみの飼育の場合は、お魚のエサをイソギンチャクモエビ用のエサとして与えればいいかもしれませんね。
混泳について
他種混泳
イソギンチャクモエビは体が小さいため、魚を襲ってしまうというようなことはありません。
むしろ逆に襲われる側です。
例えば、多くのベラの仲間、クダゴンベなどのゴンべの仲間、フグの仲間、カワハギの仲間はエビが大好物で、水槽内でもイソギンチャクモエビを襲ってしまう可能性があるため混泳は避けたほうがよいでしょう。
同種混泳
全く問題ありません。
自然界でも同じ場所に複数匹がかたまっていることが多いですし、水槽内でも複数飼育によって喧嘩が起こってしまったという話は聞きません。
むしろイソギンチャクモエビは非常に体が小さく、複数導入しても水質の悪化は考えなくてよいですし、先ほど述べたように大きめの水槽で1匹だと観察できる時間は決して多くありませんので、一度に複数匹を導入するのがおすすめです。
ただ、私がある理由でフロートボックス(↓)
に5匹を隔離していたら、1匹が襲われて死んでしまったことがあります。おそらく脱皮中に他の個体に襲われて食べられたのかと思います。
めちゃくちゃ狭い場所に何匹もいっしょに隔離した私が悪いのですが(そんな状況ならどんな生きものでもケンカしますよね…)、狭い空間に何匹もいっしょにはしないほうがよさそうです。
サンゴとの混泳
問題なく可能です。サンゴを食べたりつついてしまうことはないといっていいでしょう。
そもそも体が小さすぎて、いい意味で水槽に対して影響力がありません。
先ほど紹介した動画ではバブルコーラルに乗っている様子も見られましたし、サンゴ水槽のかわいいアクセントになってくれるでしょう。
環境変化・水質悪化に強い?
基本的には丈夫です。硝酸塩が50ppm以上と高い環境でもふつうに飼育できていました。
しかしやはり甲殻類といった感じで、急激な水質や比重、水温の変化には弱いです。
導入時の水合わせや普段の水替えには、過剰に気をつける必要はありませんがある程度は気を使う必要があります。
ろ過について
基本的には丈夫な生体ですので、ふつうの海水魚が飼育できるくらいの水質が用意できれば全く問題ありません。
▼水槽のろ過を担うフィルターについてはこちらで詳しく解説しています。
水温について
適切な水温は25℃です!
この値をキープできるように、ヒーターやクーラーで管理しましょう。1日での変化量が大きかったりすると病気になってしまう可能性もあるので、なるべく変化させないようにするのが基本です。
▼水槽用のヒーター・クーラーについてはこちらで詳しく解説しています
水換え
水換えは怠らないようにしましょう。
後述しますが、イソギンチャクモエビは甲殻類の例にもれず微量元素(特にヨウ素)の欠乏に弱いです。定期的に水換えをすることでこれを補給できます。
目安は週に1回水槽の水量の10%程度です。2週に1回20%でももちろんかまいません。あまり大量に水換えしてしまうと環境変化が大きくなってしまうので、なるべくこまめに水換えしましょう。
硝酸塩について
硝酸塩とは水の汚れそのものです。ろ過の過程で残るのですが、これ自体は分解されないので水槽にたまっていきます。これを排出するために水換えが必要なのです。
できればでよいので、硝酸塩については試験紙や試薬を購入して適宜測定を行うことが望ましいです。
基本的には、50ppm(mg/L)という値を超えてしまうと危険なので、それ以下の値を保てるように水換えを行いましょう。
海水魚の飼育をその後も見据えているなら、初めは安価なものでもよいので試験紙などを購入して測定することをおすすめします。
おすすめはこちら。試験紙タイプで結果は多少アバウトですが安価で、半分に切って使えば50回分あるのでコスパ最強です。
こちらは試薬タイプのものです。より正確に測れますよ。
▼硝酸塩について、またそれを減らす方法についてはこちらでも詳しく解説しています
特筆すべき飼育の注意点
急激な水質変化には弱い
他の甲殻類と同様に急激な水質変化には弱く、特に水槽導入時の水温合わせ・水合わせは慎重に行いましょう。
身体が非常に小さいこともありこの辺りには敏感な印象があります。
また普段の水替えや足し水にもある程度気を使う必要があります。
微量元素(ヨウ素)の欠乏に弱い
甲殻類が健全に脱皮を行うためにはヨウ素が重要な役割を果たしています。
我が家では以前、ヨウ素不足による甲殻類の脱皮不全で多くの生体を失ってしまったことがあります。実はこの時にイソギンチャクモエビも脱皮不全で亡くしてしまいました。
▼ヤドカリとエビをヨウ素不足で亡くしてしまった話
ヨウ素は重要な成分ながら水槽内からはすぐに失われてしまいます。維持するためには定期的な水替えが不可欠なのですが、元の含有量が少ないヨウ素はそれだけでは不十分だと感じます。
そのため、添加剤による定期的な添加をおすすめします。
おすすめはヨウ素を含む水槽に必要な微量元素を重点的に補給できる「パープルアップ」です。
我が家ではこれを添加し始めてからはヤドカリの脱皮不全による死亡は起きていません。
▼パープルアップのレビュー
まとめ
*初心者さんでも飼育しやすい
*30cmキューブ水槽でも飼育可能。大きな水槽だと姿があまり見えなくなるので複数導入がおすすめ
*水槽内でも増えることがある
*イソギンチャクなしでも飼育可能
*水温は25度が安定
*エサは特に与える必要はない
*お掃除能力は皆無
*他種ではエビを好んで捕食する魚は不可。同種混泳は非常におすすめ
*急激な水質変化、微量元素欠乏には弱い
*腰フリフリがかわいい
*腰フリフリがかわいい!
イソギンチャクモエビはとにかくかわいく、水槽のマスコット的な役割としては個人的には一番好きといってもいいくらいの生体です。
多少の注意点に気をつければ飼育も決して難しくない生体なので、その可愛さに魅了されたい方はぜひ導入してみてください!!
▼イソギンチャクモエビが気になった方は、こちらから購入できます。