今回は水中カメラ(TG-7)を例にして、絶対に「曇らせない」「水没させない」セッティング方法を紹介します。

本記事で分かること
・ハウジングが曇る・水没とは?
・水没・曇る原因
・絶対に曇らせないセッティング方法


ハウジングが「曇る」とはなんなのか?
曇るハウジング

TGなどの水中カメラをダイビングで使用していると、思いがけないタイミングでハウジングが曇ってしまい、上の写真のように霞がかった写真しか取れなくなってしまうことがあります。
こうなってしまうと写真は台無し、気分も下がっていいことがありません。
しかも一度こうなってしまうと、その日の間に解決することは不可能です(理由は後述)。
さらにハウジングが曇ってしまうということは水分がハウジング内に侵入しているということなので、そのまま放置するとどんどん水が浸入してハウジングが完全に水没してしまう可能性もあります。
TGなどの水中カメラは本体防水なのでハウジングのみが水没しても壊れる可能性は低いですが、その日の写真はまず撮れなくなるし、万が一カメラのロック部分が外れていた場合はそれこそカメラが水没して壊れてしまいます。
そこで今回は、ハウジングが曇ってしまう原因とその対策についてお話しします。
曇る原因と対策
乾燥剤の問題
原因:ハウジング内の水蒸気をなくせていない

ハウジングは、Oリングによって内部を密閉し水没を防ぐ道具です。
しかしここで気を付けなければいけないのが「ハウジング内の空気に含まれる水蒸気」です。
ダイビングで水に潜ると、ハウジングの外側は海水によって冷やされます。すると冬の屋内のガラス窓が結露するように、冷たくなったハウジングの内側の壁に触れたハウジング内の水蒸気が凝結することで、ハウジング内部が曇ってしまうのです。
つまり簡単に言うと「ハウジング内に水蒸気が残っている状態」は曇りにつながります。
対策:「乾いた」乾燥剤を入れよう!

なので、ダイビングをする際は絶対にハウジングの中に乾燥剤を入れることが必要です。
と、ここまでは当たり前ですが、ここで一つ盲点があります。
それは「乾いた」乾燥剤を使わなければならない、ということです。
この乾燥剤ですが、基本的に使い捨てです。
一度水分を吸収した乾燥剤を再利用しようとすると、思うように水蒸気を吸収してくれずにハウジングが曇る原因になります。
そのため安全性を追求するなら、お金はかかりますが常に新品の乾燥剤を使用しすることをおすすめします。
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水滴の問題
原因:カメラやハウジングに水滴が付着していた

ハウジングを閉める前にもしハウジング内に水滴が付着していると、新品の乾燥剤を入れても水分を吸収しきれずに曇ってしまう可能性があります。
特に連日使用する場合の2日目以降は、1日目についてしまった水滴が残っている可能性があるので注意が必要になります。
対策:拭き取り・乾燥を適切に行う

単純ですが有効な対策。
準備する際にきちんと乾燥および、拭き取りを行っていないと水滴が残ってしまい曇りの原因になるため、繊維の残りにくい不織布などで事前にしっかりと拭き取りを行いましょう。
また、ダイビング後に塩抜きを終えたら、しっかりとハウジングの蓋を開けて中を乾かしておくことも大事になります。
▼拭き取りには不織布がおすすめ
ダイビング中の水の侵入(Oリング)
原因:Oリングへの付着物や劣化の影響

ハウジングでの防水の要になるのがこの「Oリング」。
Oリングに砂や塩が付着していたり、劣化してヒビが入っていたりすると直接的な浸水の原因になります。

実はこの写真はまさに、Oリングのメンテナンス不足で内部に浸水が起こって曇ってしまったときに撮れた写真です。
セブ島でのダイビング時だったのでかなり悲しかったです(泣)。
対策:適切な事前準備

対策はシンプルで、事前のOリングの拭き取りとグリスアップをきちんと行えばOリング由来の浸水は防げます。

拭き取り&グリスアップの際にはまず付属のヘラでOリングをハウジングから外します。

Oリングを外したら不織布で丁寧に拭き取りを行います。
この際、砂粒や塩の結晶などが残ってしまわないように注意して行います。

Oリングが入っていた隙間も忘れずに拭き取りを行います。


次に付属のシリコングリスをOリングに取り、グリスアップを行います。
量は多すぎなくて大丈夫。指先にちょんと乗るくらいの量でかまいません。

最後にOリングをもとの場所にはめ込めば完了です!
なお、Oリングを見て明らかにヒビがあったり、色が変わっていたりする場合は劣化による浸水の可能性があるので、新品のOリングに買い替えましょう。

あと、ダイビング後にOリングを外しておくことも重要。
つけたままにしておくとOリングが伸びてしまって劣化が早まってしまう可能性があるからですね。
ダイビング中の水の侵入(ロック)
原因:ロックのし忘れ

これも単純ですが、きちんとハウジングのロックが閉まっていないと隙間から水が入ってしまう可能性があります。

またカメラのロックがきちんと閉まっていないと、万が一ハウジングが水没したときにカメラまで水没してしまいます。
対策:しっかり確認する!

対策はもうしっかり確認するしかありません!
ハウジングを閉めた時、ダイビングの前、何ならダイビング中も何かにぶつかった拍子にロックが開く可能性があるため、こまめに確認することをおすすめします。
海中では水圧があるため、ロックが外れた瞬間にすぐハウジングが開いてしまうことは考えにくいです。気づいてすぐにロックを戻せば問題なく復帰できる可能性が高いため、ダイビング中にも確認するといいですね!
まとめ

*新品の乾燥剤を使おう
*事前の乾燥&拭き取りをしっかりと行う
*Oリングの劣化に注意
*ロックできているかこまめに確認しよう
今回はダイビングで水中カメラのハウジングを曇らせないための対策をお話ししました。
基本的な対策さえしっかりしていれば曇る可能性を大きく下げられるため、とにかく事前準備をきちんとしてダイビングに臨めば大丈夫。
しっかり準備してダイビングを楽しみましょう!