今回は日本の海で出会うことのできるネジリンボウ属の共生ハゼ4種についてご紹介します!
全種覚えればあなたもきっと物知り認定されること間違いナシ!ダイビングや水族館ももっと楽しくなりますよ!!
本記事で分かること
・共生ハゼとは
・ネジリンボウ属の共生ハゼ4種の見た目と特徴
・飼育について
そもそも「共生ハゼ」ってどんないきもの?
共生ハゼ
「共生ハゼ」は分類学的な分け方ではないのですが、ハゼの仲間の中でもテッポウエビと一緒に生活するものについて一般的にこう呼んでいます。
この関係はテッポウエビが砂を掘ってつくった巣に、周りの監視をする代わりにハゼが住まわせてもらう、という協力関係になっています。
ダイバーにも人気で、自然界のハゼたちもたくさんのダイビングポイントで人気のアイドルになっています。
飼育はカンタンなものが多く、その点も人気の要因ですね。
種類としては「ヒレナガネジリンボウ」「ドラキュラシュリンプゴビー」「ヤシャハゼ」「ギンガハゼ」「ニチリンダテハゼ」「クビアカハゼ」「ヤノダテハゼ」「オーロラゴビー」etc…
などなど、非常に多岐にわたる種類がいます。
▼共生ハゼについてや、おすすめの種類について詳しく知りたい方はコチラ
ネジリンボウの仲間
人気な共生ハゼの仲間でも、特に人気が根強いのが「ネジリンボウの仲間」です。
日本でもいくつかの種類を実際にダイビングや水族館で見ることができ、その愛くるしい姿で数々のダイバーやマリンアクアリストを魅了してきました。
水中をホバリングするように泳ぐことが彼らの特徴ですが、その海中で自然な姿を写真に収めるのはなかなか難しく、忍び寄る技術と焦らない忍耐力が必要です。
特に共生相手のエビとの2ショットを撮ろうと思ったら、相当な忍耐力が必要になります。
ネジリンボウ属の共生相手のエビは多くの場合「コトブキテッポウエビ」ですが、「ニシキテッポウエビ」と共生する場合もあるみたいですね。
今回はそんなネジリンボウの仲間こと、「ネジリンボウ属の共生ハゼ」についてご紹介します。
日本で出会うことのできる「ネジリンボウ属の共生ハゼ」4種類
ネジリンボウ
The「ネジリンボウ」です。
温帯性が強い種類のようで、主に本州の千葉県以南から九州の太平洋側で観察することができます。
沖縄以南にもいるという情報もありますが、実際にそちらの方面で撮影された写真などを見たことがないのでよくわかりません。
共生相手のエビは「コトブキテッポウエビ」か「ニシキテッポウエビ」。
伊豆や紀伊半島、高知県などではコンスタントに観察されています。
また鹿児島の錦江湾では個体数も多く、色が非常に濃い個体が多いことから「サクランボウ」と言われ親しまれています。
飼育自体はカンタンだと思うのですが、そもそも流通しておらず手に入りません。
水族館でも見たことがないです。見ようと思ったら実際に海に潜るしかないので実は結構レアなお魚かもしれません!
ヒレナガネジリンボウ
「ヒレナガネジリンボウ」はノーマルネジリンボウの背びれをビョーンと伸ばした感じの見た目をしています。
千葉県以南の太平洋側から南西諸島にかけて広く生息しています。
ノーマルネジリンボウよりは南方系で本来伊豆などでは死滅回遊魚のようですが、近年では黒潮大蛇行による海水温上昇の影響で当然のように越冬し、個体数が増えているようです。
共生相手はほとんどの場合「コトブキテッポウエビ」です。
伊豆のポイントでは保護のために巣の周りに石でサークルが作られることがあり、かつダイバー慣れしている個体が多いため「とりあえず見て写真を撮りたい」という場合には伊豆がおすすめだと個人的には思います。
しかし沖縄では水の透視度が高く、巣が白く美しい砂でできているため、「美しい写真が撮りたい」というときは沖縄や奄美大島などの南西諸島が向いていると思います。
飼育は非常にカンタンで、私も飼育したことがあります。
流通も多く、ハゼ・エビ共に海水魚ショップにコンスタントに入荷があり値段もお手頃なため、初めての海水魚飼育にもおすすめな種類です。
水族館でもちょくちょく見ますね。札幌のAOAO、しながわ水族館(アクパではない)、横浜のフォーチュンアクアリウムなどで見たことがあります。
水族館の子たちは人馴れしていてかなり可愛いです。
ヤシャハゼ
赤い斑点とラインが特徴的な「ヤシャハゼ」。
日本では千葉県以南の太平洋側から南西諸島まで広く生息しています。
ヒレナガネジリンボウと同じように本来伊豆などでは死滅回遊魚ですが、やはり海水温上昇で越冬個体が増えているようです。
共生相手のエビは「コトブキテッポウエビ」。ヤシャもコトブキも派手派手な模様なので、かなり人気の組み合わせです。
ヒレナガネジリンボウと同じように伊豆では保護される傾向にあり、観察もしやすいです。そのほか紀伊半島や高知県の柏島などでもよく観察されています。
個人的にはヤシャハゼを見るなら沖縄の水納島がおすすめですね!あまりにも個体数が多いので引っ込んだら次!引っ込んだら次!って感じで撮影に専念できます。
飼育は例によってカンタン。私もヒレナガネジリンボウと一緒に飼育していました。
ただ値段が高く、1匹5000円くらいするので初心者向けではないかもしれません。
水族館でもよく展示されていて、神奈川の新江ノ島水族館では「皇室ご一家の生物学ご研究」展示の一環として飼育されています。
キツネメネジリンボウ
ネジリンボウ属では圧倒的にレアな「キツネメネジリンボウ」。
ネジリンボウとは異なり頭が黄色くなく、代わりに頭に黒いラインが走っているような見た目をしています。
日本固有種とされていて、今まで確認されているのは私の知る限り奄美大島、鹿児島、高知の柏島、和歌山の串本、伊豆の数か所のみです。
共生相手は「コトブキテッポウエビ」。
コンスタントに観察できるのは高知の柏島だけです。伊豆では数年に一度現れて大騒ぎになります。
上の写真は23年の秋に東伊豆の富戸に現れた個体を撮影したもの(めちゃくちゃ話題になってました)ですが、私もいずれは柏島でキツネメネジリンボウを見てみたいですね。
レアすぎてまず流通しないので個人で飼育するのはまず不可能でしょうし、水族館でも見たことがないです。
どこかの水族館が展示してくれないかなあ。
番外編:海外のネジリンボウ属の共生ハゼ
ドラキュラシュリンプゴビー
ここからは番外編。日本にいないネジリンボウ属の共生ハゼをご紹介します。インド洋の固有種の「ドラキュラシュリンプゴビー」です。
頭の黄色がやや薄く、背びれの形状と体の横縞がネジリンボウとは異なりますね。
モルディブに生息しています。
共生相手は「コトブキテッポウエビ」。
日本では観察できませんが、モルディブではダイバーに人気の種類です。いつかは実際に海で見てみたいですねえ。
上の個体は我が家で以前飼育していた子で、例によって飼育はカンタンです。
流通はまれですが、ショップのサイトや通販にアンテナを張っておけば普通に手に入るレベルです。ただ1匹10000円はするため手は出しにくいかな。
まとめ
*ネジリンボウ属の共生ハゼはダイビングでも人気
*王道の「ネジリンボウ」
*長い背びれがチャーミング「ヒレナガネジリンボウ」
*美しい体色「ヤシャハゼ」
*超レアの日本固有種「キツネメネジリンボウ」
*モルディブで見たい「ドラキュラシュリンプゴビー」
今回は日本の海で出会うことのできるネジリンボウ属の共生ハゼを4種類紹介しました。
どの種類も特徴的でとってもカワイイ子たちですので、水族館ではもちろん、ぜひジッサイの海で、自然界を生き抜く彼らをご自身の目で観察してみてください!
飼育もカンタンな仲間なので、おうちでも彼らの愛くるしい姿を見たい方は飼育してみるのも一興かもしれません。
▼海水水槽を始めるときに必要なもの