本記事で分かること
・カクレクマノミはサンゴイソギンチャクに入るのか
・自然界でのカクレクマノミとイソギンチャクについて
・入る可能性について
カクレクマノミはサンゴイソギンチャクに入る?
水槽内では…?
ひと言で結論から言うと、
飼育下においては入ることも入らないこともあります。
例えば、しながわ水族館の水槽ではカクレクマノミはサンゴイソギンチャクに入っていました。
しかし、我が家の水槽ではサンゴイソギンチャクとカクレクマノミを1か月ほど同時に飼育しても、カクレクマノミは一切興味を示しませんでした。
このように、飼育下ではカクレクマノミがサンゴイソギンチャクに入るかどうかというのは、はっきり言って飼ってみないとわからないくらい五分五分です。
自然界では…?
自然界でのカクレクマノミは、サンゴイソギンチャクに入ることはありません。
クマノミの仲間が共生するイソギンチャクは種ごとにほぼ決まっています。野生のカクレクマノミが共生するのは、ハタゴイソギンチャクかセンジュイソギンチャクです。
逆に、自然界でサンゴイソギンチャクに入ることが多い種類は「カクレクマノミ」ではなく「クマノミ」です。
サンゴイソギンに入りやすくする方法
ではカクレクマノミがサンゴイソギンチャクに入りやすくする方法を考えていきます。
水槽内にそれしか入れそうなものがない状況
カクレクマノミには「イソギンチャクと共生する本能」があるらしく、何か長くてうねうねしているものに体が覆われている状況が落ち着くみたいです。
したがって、水槽内に入れそうなものがそれしかない状況があると、仕方なく入ることもあるようです。
上でも紹介したこのしながわ水族館の水槽では、カクレクマノミが「大きな水槽に大きなサンゴイソギンが複数いる」という、もうそれに入るしかないような環境で飼育されていました。
また鳥羽水族館では入館してすぐのところにある大型サンゴ水槽に超巨大なウミキノコがあり、それにはカクレクマノミが数匹入っていました。
一応その下に申し訳程度にイボハタゴイソギンチャク(※推測です/野生下ではトウアカクマノミと共生)がありましたが、そちらには見向きもしていませんでした。
このように、水槽内では「もうそれに入るしかないという状況」を作れれば、カクレクマノミがサンゴイソギンチャクに入る可能性を上げられるでしょう。
実際に水槽の引っ越しの際にまだウミキノコと共生していないカクレクマノミと、ウミキノコを一緒にバケツに隔離したらその時だけウミキノコに入った、ということがありました(引っ越し先の水槽に入れたら出ちゃいましたが)。
たしか我が家でサンゴイソギンチャクを導入したときの状況は、60cm水槽に5cmくらいのとても小さなサンゴイソギンチャクを導入したうえ、ほかにかなり大きなウミキノコがあったのでイソギンチャクに入る必要性が感じられなかったのかもしれません。
脅威となる生体の存在
カクレクマノミは自分の身を守るためにイソギンチャクと共生しているわけですから、逆に天敵のいない水槽内ではイソギンチャクに入る必要が、安全管理的な観点ではありません。
共生は本能なので、安全かどうかはあまり関係なく起こるはずですが「水槽内で」「サンゴイソギンチャクに」という状況を考えると、カクレクマノミが「あのイソギンはなんか違うけど…危険だからとりあえず隠れよう」という感じで入るのかなといった感じです。
逆に言えば水槽内にカクレクマノミにとって脅威になりうる生体(≒体の大きな生体)がいれば、イソギンチャクに入る可能性も上がるでしょう。
我が家ではカクレクマノミがウミキノコにまだ入っていない時期でも、水槽に手を入れるとカクレが脅威を感じてかウミキノコに体をすりつけるということもありました。
生体の導入によってそんな風に脅威を多少感じさせてやると良いかもしれません。
おすすめは体は大きくても協調性があるヤッコの仲間や、ハギ類、ヒフキアイゴなどです。
おすすめはヒフキアイゴですね。非常に協調性が高いので入れた後に問題が起きにくく、なによりヒフキアイゴ自体がカワイイです!
時間がかかる可能性もあるので待つ
ハタゴイソギンチャクが水槽にあると、カクレクマノミは「あれは絶対そう!!」みたいな感じで、比較的すぐに共生します(それでも我が家の個体はブリードだったからか1か月くらいかかった)。
多くの場合はハタゴならカクレクマノミは速攻で入るみたいです。
しかしサンゴイソギンチャクなどの、ハタゴやセンジュ以外のイソギンチャクやサンゴだとそうもいきません。
共生する場合でもかなり時間がかかる場合が多いようです。例えば我が家でウミキノコに入っていたカクレクマノミは、入るまでに4か月かかりました。
そのため、時間がかかっても根気よく待ちましょう。
一応目安は、もしカクレクマノミがイソギンチャクにヒレでちょんっと触るような動作や、近くを泳いで興味があるような動作があれば共生までもうすぐな状況です。
これは共生前に見られる特有の動作のようです。
※「サンゴとサンゴ礁のはなし 南の海の不思議な生態系」本川達雄 著 より
ただ、個体によってはサンゴイソギンチャクでも速攻で入ったり、前日まで興味がなかったのに朝起きたら急に入っていたりといったこともあるようです。
それでも入らないことも…
ぶっちゃけ、ここまでやっても入らないことはままあります。
例えば、これはめっちゃ面白かったのですが、2021年3月に閉館してしまった志摩マリンランドで飼育されていたカクレクマノミは、同じ水槽にイソギンチャクがあるにもかかわらずモサモサのコケの中でモフモフしていました。
というわけで、結局のところサンゴイソギンチャクに入るかどうかは個体次第というか、運の部分が大きいです。
入る個体はすぐに入りますし、そうでない個体はいつまでたっても入りません。
さらに言うとサンゴイソギンチャクは移動しまくったりなど意外と気難しい部分もあるので、クーラーさえあれば飼育の簡単なウミキノコにカクレクマノミが入ることに期待するのも手段のひとつです。
また、ハタゴイソギンチャクは飼育が難しいといわれるので敬遠しがちですが、あくまで私の観察と経験上においては、しっかりとしたライトさえ確保できればあまり難しいとは感じません。
ハタゴが難しいといわれがちなのはおそらく採取時や運搬時の悪影響が大きいのだと考えられます。
調子のよい個体を導入できれば意外と簡単に飼育できたりもするので、どうしてもカクレクマノミの共生が見たい方は検討してみてください!
最後にもう一つだけ補足をすると、今まで入っていないかった個体でも、別の個体が入っている様子を見るとつられて入ることもあります。
我が家でカクレクマノミがハタゴに共生したときは、同時に飼育していたブラックオセラリスが先にハタゴに入り、それを見たカクレがオセラリスを追い出してハタゴを陣取りました。
カクレクマノミである限りイソギンチャクに共生したい本能はありますので、それをどうにか刺激できれば入る確率は上がるのかもしれませんね。
まとめ
*カクレクマノミはサンゴイソギンチャクに入ることも入らないこともある
*自然界では入ることはないが、水槽内では入ることもある
*それに入るしかない状況だと入ることも
*脅威の有無も入るかどうかに関係していると考えられる
*入るとしてもそれまでには時間がかかることが多い
*ここまでやっても入らないことも…
カクレクマノミがイソギンチャクに入っている様子はとってもかわいいですが、ハタゴやセンジュでないイソギンチャクではなかなかうまくいかないこともあります。
それでも飼育下であれば入ってくれる可能性はありますので、何とかその様子を見れるとうれしいですね!
▼サンゴイソギンチャクの飼育法はこちら