というわけで今回はウミキノコが開かない理由とそんな時の対処法を解説します。
本記事で分かること
・ウミキノコが開かない理由
・開かないときの対処法
ウミキノコが開かない理由
水槽導入直後だから
ウミキノコは丈夫なサンゴですが、水槽に導入した直後は環境に慣れるために開かないことがあります。
特に初めのうちは1次ポリプのみ開いていることが多いような気がします。
私がウミキノコを導入した際は、1次ポリプは数日で開いたのですが、1次ポリプだけ開く状態がしばらく続き、2次ポリプまで綺麗に開くまでは1ヶ月ほどかかりました。
したがって水槽導入直後は、ウミキノコが慣れるまで開かない可能性があるのでそのまましばらく待てば、次第に開くようになってくれます。
・導入直後は慣れるまで開かないこともある。しばらくすると次第に慣れて開くようになる
脱皮
ウミキノコは脱皮をします。どんな時に脱皮をするかはよくわかりませんが、なんらかの環境変化が起こった際やゴミやコケがついてしまった時などに起こっているように感じます。
脱皮をする時は急に数日ポリプを開かなくなり、薄皮がペラペラ剥がれてくるように脱皮します。
何もしていないのにポリプが開かなくなったという時は脱皮の可能性が考えられます。
1週間以上かかることもありますが、そういう時も放っておけば脱皮後は綺麗にポリプを咲かせてくれますので、問題ありません。
・脱皮前は開かない。脱皮後は元通り。
水温が高すぎる
ウミキノコは高水温に弱く、水温が28℃以上になると開かなくなってしまいます。
ふとウミキノコを見た時にポリプが開いていなかったので、水温を確認するとクーラーが壊れたことにより32℃まで上がっていたことがあります。
なお、これらの理由からウミキノコの飼育にはクーラーが必須といえます。夏場までにセットしておくとよいですよ!
ウミキノコは高水温がニガテ。夏場はクーラーを稼働させたい。
▼水槽用のクーラーについてはこちら
微量元素の不足
ウミキノコは丈夫なサンゴであることは間違いないのですが、水中のヨウ素、マグネシウム、ストロンチウム、またその他の微量元素が他の魚やサンゴに使われてしまい欠乏していると、調子を落とすことがあります。
このような時は水替えをしましょう。水替えにより、新たな人工海水から海水生物に必要な元素が供給されます。
また、添加剤による微量元素の補給もおすすめです。
おすすめの添加剤は、マグネシウムを主としてその他ほぼ全ての微量元素を補給できるカミハタさんの海養水と、カルシウム、ストロンチウム、ヨウ素を重点的に補給できる同じくカミハタさんのパープルアップです。
ソフトコーラルの飼育であれば、とりあえずこの2つを添加していれば微量元素欠乏の心配はいらないでしょう。
実際私もこの2つを合わせて添加していますが、添加前と比べてソフトコーラルの調子が明らかに良くなりました。また、これらの成分は魚や甲殻類にも有用で、水槽全体の環境向上に効果があります。
同じように、特に原因が見当たらないけどウミキノコが閉じている、という時は微量元素の不足を考えるといいかもしれません。
おすすめ添加剤
▼海養水。マグネシウムを主として、海水に含まれるあらゆる成分を含んでいる。私の水槽(総水量130~140L)で規定量を入れていると消費が早くてすぐ使い切ってしまう(3か月くらい)のはもったないが、微量元素の補給はこれ1本、週1、2回の添加でいいのでとても楽。
▼パープルアップ。カルシウム、ストロンチウム、ヨウ素など石灰藻の成長に必要な成分を重点的に供給。これらの成分はサンゴや魚の健全な育成にも不可欠なので、私は石灰藻というよりもサンゴや魚への微量元素供給に使っている。(私はできてないけど)水槽内の栄養塩を低く保てれば石灰藻も増えていくのでライブロックなどの見た目改善にも◎。海養水にはヨウ素はあまり含まれていないようなので合わせて使うのがおすすめ。
▼ソフトコーラルの飼育におすすめな添加剤についてはこちらで詳しくお話ししています。
・微量元素が不足すると元気がなくなる。水替えや添加剤の利用がおすすめ。
硝酸塩が多すぎる
前述の通りウミキノコは丈夫と言えるサンゴなのですが、硝酸塩が蓄積してあまりに汚れた水質だとよくありません。
我が家では硝酸塩が50ppm(mg/L)を超えているような水質でも問題なく開いていましたが、すべてのウミキノコがそうであるとは言えません。
このような場合も水替えで対処できます。
・硝酸塩が高すぎると調子を崩す。水替えで対処しよう。
▼なお、硝酸塩やそれを減らす方法についてはこちら
他のサンゴ、イソギンチャク、魚、ヤドカリの影響
意外と盲点ですが、ウミキノコは他の生物の影響で開かなくなることがよくあります。
例えばヤドカリに乗られたり、カクレクマノミがイソギンチャク代わりに体をすり寄せたりたりすると、ポリプが閉じることがあります。
ヤドカリに乗られていれば縮こまって饅頭のようになりますし、クマノミにすり寄られている時はそのすり寄られている付近のポリプが閉じます。
我が家ではどちらも起こっていましたが、どちらもウミキノコにとって致命的ではないので、いなくなれば自然と元に戻ります。
▼なお、カクレクマノミがウミキノコに入ることについてはこちら
ただし注意しなくてはならないのは、他のサンゴやイソギンチャクとの接触です。
ウミキノコは触手の持つ毒性が弱く、より毒性の強いサンゴ(スターポリプ、ハナサンゴ類、バブルコーラルなど)や、イソギンチャクなどと接触するとその部分が負けて溶けてしまいます。
このような場合もポリプは開かなくなり、接触部分が変色して腐ります。
そんな時はダメージを受けた部分が広がる前に思い切ってハサミなどでカットしましょう。
そうすれば変色しておらず無事な部分は次第に元通りになります。
▼ウミキノコの飼育、株分けについてはこちら
・ヤドカリやクマノミによるものは問題なし!
・他のサンゴやイソギンチャクに接触されて変色している場合はそこから腐ってしまうので接触した部分をカット!
開かないこと自体は問題なし
ウミキノコに限らずサンゴのポリプが開かないと心配してしまいますが、水族館や自然界でのサンゴを見ると開いていないことはままあります。
というか、2次ポリプまできれいに開いているようなことはあまり多くないです。
ダイビングをしていると1次ポリプさえ出ずにつるつるになっているウミキノコも多く観察できます。
そのため、ウミキノコにとってポリプを出さないことは日常茶飯事だと考えられ、出ないこと自体はあまり問題でないことが多いと思われます。
余りに縮みこんで小さくなっているとか、何か月もポリプを出さずにハゲているといったことがなければあまり心配する必要はありません。
まとめ
*水槽導入直後は開かないこともあるので待とう
*脱皮前は開かなくなる
*ウミキノコは高水温がニガテ
*微量元素不足は水替えや添加剤で。
*硝酸塩は水替えで排出
*サンゴやイソギンチャクの接触による不調なら接触した部分をカット
*ポリプを出さないことを過剰に心配する必要はナシ!
ウミキノコは丈夫とはいえ意外と機嫌が悪くなることもままあります。
導入直後なら慣れるまで待ちます。
それ以外の場合はまず水温を疑い、さらに水質調査をしてみて水替えや添加剤を入れてもダメなら脱皮の可能性が高いので、待てば自然に戻ることが多いと思います。
もし他のサンゴやイソギンチャクによる接触なら患部をカットして対処しましょう。
皆さんがよいウミキノコライフを過ごせますように!