アケボノハゼは白と紫のグラデ―ションが美しく飼育もしやすいため人気の魚です。今回は気になるアケボノハゼの飼育法とその際の注意点についてお話しします。
本記事で分かること
・アケボノハゼの特徴
・アケボノハゼ飼育に必要な環境
・アケボノハゼの飼育法
・飼育の注意点
▼海水魚飼育をはじめる時に必要なものをまとめています。「これから始めよう」という方は是非参考にしてください。
アケボノハゼの特徴
アケボノハゼハゼの見た目
アケボノハゼは最大で6~8センチほどになります。
赤いヒレや、体の後方にいくにしたがって紫色のグラデーションがかかっていく見た目は非常に美しいです。
自然界では水深40mなどの深い場所に飼育しているので、自然界での姿はなかなか見ることができませんがいつかは見てみたいですね。
アケボノハゼの性格
アケボノハゼは非常に臆病です。特に小さな個体は環境によっては巣穴に引きこもってしまうこともあるほどです。
水槽に慣れるのにもある程度の時間がかかりますが、人工エサはすぐにエサと認識して食べてくれます。
しかし水槽に慣れれば前に出てきてきれいな姿を見せてくれます。
ただ近縁のハタタテハゼと比べると、やや気が強いように感じます。私の水槽でもハタタテハゼに威嚇していましたし、水槽にもすぐ慣れて出てくるようになりました。
アケボノハゼを入手する
アケボノハゼは海水魚を販売しているショップや通販などで購入できます。
入荷は比較的多く、どのショップでも入手できます。少々深場に生息している魚である影響か、値段は1匹4000~5000円ほどと少し高めです。
非常に丈夫な魚ですので、通販での購入でも弱ってしまうようなことはあまりありません。
アケボノハゼの飼育について
必要な水槽の大きさ
最大の大きさは6~8cmくらいですが、とても小型のお魚で、主に販売されているサイズも3~5センチほどと小さいです。逆に5~7センチほどの大きな個体が販売されていることもあります。
したがって30cmキューブ水槽などの小型の水槽でも飼育できます。
エサ
ハタタテハゼは人工エサを初めから食べてくれます。餌付けの心配はありません。
エサの量については、かわいくてたくさんあげてしまう気持ちは痛いほどよくわかります が、無秩序なエサやりは水質の悪化を招きよくありません。魚たちが1分ほどで食べきれる量を、2、3回にわけて、1日に2回ほど与えましょう。
アケボノハゼはエサのために水面まで来ることはあまりないので、浮くタイプではなく沈下性のエサを与えてあげましょう。水流にのせてあげると○です。また粒が大きいと食べられませんので小粒のエサがおすすめです。
おすすめは、食いつきがとっても良いメガバイトレッドSや栄養価の高いシュアーRです。コスパ重視なら安価で量の多いテトラマリン ミニグラニュールもおすすめです。何個かのエサをローテーションしてあげると飽きが来なくておすすめですよ!
▼食いつきが凄まじいメガバイト
▼栄養満点のシュアー
▼コスパ最強のミニグラニュール
混泳について
他種混泳について
アケボノハゼは自身は非常に温和で臆病なので、ほかの魚に攻撃を仕掛けることはありません。
しかしほかの魚にちょっかいを出されるとすぐに巣穴に逃げて引きこもってしまうので、デバスズメダイ以外のスズメダイの仲間やモンガラなどの性格の強い魚との混泳は避けましょう。
協調性のあるハギ類やヤッコ類、ヒフキアイゴ、デバスズメダイ、人気のカクレクマノミなどとの飼育は可能です。
混泳のコツ
また、アケボノハゼを隠れさせることなくほかの魚との混泳を行うコツは
アケボノハゼを先に水槽に入れて、しばらくしてアケボノハゼが水槽に慣れてからほかの魚を導入するというものです。
こうすることでアケボノハゼを先に水槽に慣れさせ、引きこもることを防止できる可能性が高まります。
後述しますがアケボノハゼは非常に丈夫な魚ですので、上記のことを考えてもパイロットフィッシュとしての導入が非常におすすめだと思います。
また、大きな個体を購入するのもおすすめです。ほかの魚にも負けないくらいの大きな個体であれば隠れることも少なくすぐにでできてくれる可能性があります。
同種混泳について
水槽の大きさなどにもよりますが注意が必要です。
自然界ではペアで暮らす魚です。
水槽内にアケボノハゼ複数入れてしまうと喧嘩が起こりやすく、ペアか1匹での飼育をおすすめします。性別が容易にわかる魚ではありませんので「入れた2匹が同じ性別だった」ということを考えて1匹での飼育を個人的にはおすすめします。
しかし「アケボノハゼペア」として販売されている場合は問題ないと思います。
もちろん水槽がある程度大きく、両者の縄張りがそれぞれ確保できる場合には複数飼育可能です。しかし私は60cm規格水槽にアケボノハゼと、近縁のハタタテハゼを同じ水槽に入れたところハタタテがいじめられてしまいハタタテを隔離療養した経験があります。
現在は60cmワイド水槽(60×45×45cm)で両者を飼育していますが、激しいいじめはなく混泳できています。
そのためアケボノハゼを複数飼育したい場合や、ハタタテハゼと混泳させたい場合には、魚の大きさにもよりますが最低でも60cmワイド水槽以上が必要でしょう。
また私の水槽でハタタテハゼと近縁のアケボノハゼが争ってしまたように、ハタタテハゼ属の魚(ハタタテハゼ、アケボノハゼ、シコンハタタテハゼ)の混泳には注意が必要です。
なお同じ遊泳性のハゼですがクロユリハゼなどのクロユリハゼ属との混泳は問題ないようです。
▼ハタタテハゼとアケボノハゼの混泳のコツについてはこちら
アケボノハゼは環境変化に強い?
アケボノハゼは非常に強健です。
水質の悪化や温度変化などの悪条件・環境変化にはとても強いです。自然界でも底の砂に触れることの多い魚のため、白点病などに耐性があり、病気にはまずかかりません。
したがってアケボノハゼが初心者さん向けといわれる理由のひとつです。
逆にアケボノハゼが病気になる環境というのは相当悪い環境ですので、そのような場合はまず水槽環境を見直しましょう。
なおアケボノハゼの強健さは最強と呼べるほど秀でており、私の水槽ではクーラーの故障で32℃まで水温が上がってしまったり、硝酸塩という水の汚れが限界まで溜まってしまったことがあるのですが元気に泳いでいました。
もちろんこのようなことはないほうが良いですが、このようなことが起こっても平気なくらいの圧倒的なタフさを持っており、何かと環境を不安定にしてしまいがちな初心者さん向けの魚といえます。
水槽の蓋は必須
アケボノハゼは臆病なこともあり、何かの拍子に驚くことが多いです。驚くと上にぴょんっと跳ねるように泳ぐことが多く、その結果水槽からの飛び出しが非常に多いです。
そのためアケボノハゼの飼育においては、水槽の蓋が必須といえます。
少しでも隙間が空いていると「こんなとこから?!」というところからも飛び出てしまったりするので、隙間なく蓋を置くのが理想です。
▼水槽に蓋をするメリットについてこちらで解説しています。
水槽に付属の蓋だと隙間が結構ある場合が多いので、おすすめはホームセンターなどで透明で薄いアクリル板を買ってきて、水槽に合わせてアクリルカッターで切断して蓋を作ることです。
私の水槽もそうして作成した蓋を利用していましたが、ハゼが飛び出たことはありませんでした。
▼アクリル板で水槽の蓋を作る方法についてはこちら
隠れ家を用意してあげよう
アケボノハゼは自然界では巣穴を持って、その近くで泳ぎつつ危険が迫ると巣穴にひゅっっと隠れてしまうお魚です。
したがって水槽内でもライブロックの隙間や、ハゼ土管なんかで巣穴を作ってあげることが必要です。基本的にはライブロックがあればその隙間に勝手に隠れるので、あんまり意図的に作る必要はないです。
巣穴があるとハゼが脅威を感じたときにその中に避難しますので、飛び出しのリスクを減らすこともできますよ。
なお、水槽の環境に慣れていなかったり、混泳魚におびえて出てこなくなってしまった場合は、とにかく待てば次第に慣れてきます。私の水槽ではアケボノハゼが水槽に慣れて出てきてくれるようになるまで1か月ほどかかったので、すぐに出てこなくても焦る必要はありません。
隠れて出てこないときは、ハゼの巣穴の前にスポイトなどでエサを落としてやると出てきてぱくっと食べますよ。
▼こちらの記事ではハタタテハゼが出てこないときの対処法について解説しています。アケボノハゼも同様の方法で対応できます。
大きな個体がおすすめ
アケボノハゼを後から水槽に導入するとき、おすすめなのは大きな個体を購入するということです。
大きな個体はほかの魚から威圧されにくく、水槽に慣れるのもより早いです。
実際私は10匹ほどの魚がすでに泳いでいる水槽にあとからアケボノハゼを導入するとき、7、8センチのかなり大きい個体をショップで選んで導入すると、すぐに水槽に慣れて出てきて泳いでくれるようになりました。
このアケボノハゼはほかの魚に物怖じしないほか、同居していたハタタテハゼをいじめるほどに図太くなってしまい少し困りましたが、びびって出てこないということは一切なく助かっています。
アケボノハゼを後から水槽に導入する際には大きめの個体がおすすめです。
ろ過について
アケボノハゼは丈夫な魚なのでろ過方式は特に問いません。魚の飼育数にもよりますが外掛けフィルターや外部フィルターでも十分飼育できます。
▼水槽のろ過を担うフィルターについてはこちらで詳しく解説しています。
水温について
適切な水温は25℃です!
この値をキープできるように、ヒーターやクーラーで管理しましょう。1日での変化量が大きかったりすると病気になってしまう可能性もあるので、なるべく変化させないようにするのが基本です。
▼水槽用のヒーター・クーラーについてはこちらで詳しく解説しています
水替え
水替えは怠らないようにしましょう。丈夫なアケボノハゼとはいえ、汚れた水では長生きできません。
目安は週に1回水槽の水量の10%程度です。2週に1回20%でももちろんかまいません。あまり大量に水換えしてしまうと環境変化が大きくなってしまうので、なるべくこまめに水換えしましょう。
硝酸塩について
硝酸塩とは水の汚れそのものです。ろ過の過程で残るのですが、これ自体は分解されないので水槽にたまっていきます。これを排出するために水換えが必要なのです。
できればでよいので、硝酸塩については試験紙や試薬を購入して適宜測定を行うことが望ましいです。
基本的には、50ppm(mg/L)という値を超えてしまうと危険なので、それ以下の値を保てるように水換えを行いましょう。
海水魚の飼育をその後も見据えているなら、初めは安価なものでもよいので試験紙などを購入して測定することをおすすめします。
おすすめはこちら。試験紙タイプで結果は多少アバウトですが安価で、半分に切って使えば50回分あるのでコスパ最強です。
こちらは試薬タイプのものです。より正確に測れますよ。
▼硝酸塩について、またそれを減らす方法についてはこちらでも詳しく解説しています
飼育の注意点
アケボノハゼ飼育における注意点をまとめます。
できれば最初に水槽に導入
混泳成功のコツはまずアケボノハゼを水槽に慣らすことです!できれば最初に水槽に導入しましょう。
後から導入するときは、アケボノハゼにプレッシャーをかける魚をいったん隔離してハタタテハゼをまず水槽に慣らしたり、そもそも大きな個体を導入するのがおすすめです。
他種混泳においては協調性の高い魚を!
気の強い魚と一緒にするといじめられてしまいます!魚を導入したいときには事前に下調べを忘れずに。
同種混泳には注意
小型水槽での複数飼育は喧嘩のもとです!60cmワイド水槽未満の水槽ではハタタテハゼ類は1匹での飼育をすすめます。
蓋が必須
朝起きたらアケボノハゼが水槽の下で干からびていた、なんてことがあったらほんとうにかなしいですから、飛び出し防止のフタは必ず隙間なくしましょう!
アクリル板で水槽に合わせてフタを作成するのががおすすめです。
▼アクリル板で水槽の蓋を作る方法についてはこちら
まとめ
*丈夫で飼育しやすい!初心者におすすめ
*小型水槽でも飼育可能
*水温は25度が安定
*エサはメガバイトレッドやシュアー、テトラマリン ミニグラニュールがおすすめ
*1匹での飼育がおすすめ
*混泳魚との相性に注意
*蓋は必須
*値段は4000~5000円くらい
アケボノハゼは値段はそこそこながらもその美しさで海水魚の飼育者を魅了してやまない魚のひとつですよね。実際に私もアケボノハゼに魅了されたひとりです。
いくつかの注意点に気をつければ初心者さんでも非常に飼育しやすいので、とってもおすすめの魚ですよ。