【父島】ヤセタマカエルウオは魚なのに水が嫌い!〈マリラバ生物探訪〉

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ヤセタマカエルウオ Alticus orientalis

2025.03.小笠原諸島-父島

ヤセタマカエルウオ Alticus orientalis
目:スズキ目 Perciformes
科:イソギンポ科 Blenniidae
属:タマカエルウオ属 Alticus

2025.03.小笠原諸島-父島

伊豆諸島から小笠原、南鳥島などに生息する固有種です。八丈島や小笠原の岩石がごつごつとした海岸ではごく普通に観察できます。

元々は沖縄などの南西諸島に生息する「タマカエルウオ Alticus montanoi」と同一種とされていましたが、2021年の論文で別種ということが示されました。

2025.03.小笠原諸島-父島

彼らの特徴はなんといっても「魚なのに水が嫌い」なこと!

ヤセタマカエルウオは皮膚呼吸することが可能で、普段は岩などの上に上がって表面に生えた藻を食べています。

下向きについた口と歯で藻をこそげとって食べているようで、岩の上でハムハムしている様子が見られます。

2025.03.小笠原諸島-父島

またじっくり観察していると「こてん」と突然横に転がってから元に戻り、そのまま何事もなかったように活動を開始することもあります。

これは体の表面が濡れていない皮膚呼吸ができないためで、定期的に体を濡らすために転がるのです。

2025.03.小笠原諸島-父島

どうやら相当に陸上生活に特化しているようで、このように波がぶっかかっても岩に張り付いたまま耐えていたり、ぴょんぴょん跳ねてさらに岩の上方に逃げていくこともありました。

ただ私が写真を撮るのに夢中になって近づきすぎたときはさすがに怖かったのか、水面を跳ねるようにして逃げていきました。

2025.03.小笠原水産センターで撮影した子

ちなみに父島にあるミニ水族館「小笠原水産センター」では水槽で飼育されている子たちを見ることができます。

おが丸が停泊している二見港から近いうえに入館料は無料なので、入港日や出港日の開いた時間に観察しに行ってみてもいいかもしれません!

本記事の参考文献


Kyoji Fujiwara・Kimitatsu Kawama・Nozomu Muto・Hiroshi Senou・Hiroyuki Motomura(2020)Validity and redescription of the poorly known Japanese blenny Alticus orientalis Tomiyama 1955 (Perciformes: Blenniidae)、Ichthyological Research、68、p.471–485

斉藤洪成・村瀬敦宣(2024)東京大学総合研究博物館所蔵標本に基づく南鳥島からのヤセタマカエルウオの記録、Ichthy、Natural History of Fishes of Japan、46、p.31-33

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