【シャチ】知床・羅臼のクルーズでシャチを見る〈マリラバ生物探訪〉

rirutaki

5月に北海道の羅臼町でシャチを観察できるホエールウォッチングクルーズに参加してきました。

シャチはもちろん、ナガスクジラやウトウなど多くの生きものが観察できましたのでその様子をご紹介します。

2026.05.羅臼沖
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知床半島 羅臼町

2026.05.羅臼町

北海道が誇る世界自然遺産でもある知床半島。その知床半島と国後島の間にある根室海峡には、毎年春から夏にかけて野生のシャチがやってきます。

またシャチだけでなくイシイルカやナガスクジラ、ツチクジラ、時期は異なりますがマッコウクジラなど多くの鯨類が生息していることでも有名です。

さらに、ウトウやフルマカモメなどの多くの海鳥も生息しており、これらの生きものを観察する羅臼町初の観光クルーズが実施されています。

クルーズを実施している観光船の会社はいくつかありますが、基本的にどの会社でもクルーズの時間や料金はほぼ変わらないので、あまり考えて選ぶ必要はありません。

クルーズには午前便と午後便が別々にあり、生きものの観察状況にもよりますが2時間から3時間程度の運行時間になります。

観光船 | 知床羅臼町観光協会

↑羅臼町観光協会の公式サイトに観光船の一覧があります。

正直どこでもいいと思いますが、初めてであればゴジラ岩観光やはまなす、北の知床観光などの大きめのところが安全かもしれません。

ちなみに、以前の知床観光船の沈没事故(その件は羅臼側ではなく知床半島の反対側のウトロ側ですが)を受けてか、船の出航判断基準はかなり厳密に決められており、A社は出航しているけどB社は出航していないというようなことは起こりえないようになっているようです。

その日の海況に従って全社出航するか全社欠航するかが決まります。

また、シャチの観察できる時期は海が荒れることも多いため、狙った日に出航できない可能性も考慮してできるだけ複数日程を確保しておくと安心です。

出航!

この日は霧が濃かった

というわけで出航です。

この日はかなり霧が濃く、シャチ捜索は難航すると思われました。

少し不安な気持ちでしたが、出航して数分で海鳥が現れ始めます。

ウトウ

ウトウです!

顔の装飾とオレンジ色のくちばしが美しいウミスズメの仲間ですね。北海道では天売島の大コロニーが有名です。

飛び立つウトウ

船に驚いて飛び立つ姿もキュートですね。かなりの数が群れで観察できました。

ちなみにクルーズで観察できる生きものはそこそこの距離にいることが多いため、しっかり観察するには望遠できるレンズを付けたカメラか双眼鏡の持参をおすすめします。

アカエリヒレアシシギ
オオハム or シロエリオオハム

その後も海鳥がちょいちょい観察でき、出航から30分ほどしたころついに現れました。

シャチです!

すでに観察している船もおり、自分が乗っていたクルーズ船は2番目でした。

しばらく見ていると異変に気付きます。

何か咥えてる…?

※ここからややショッキングな写真が出てきますのでご注意ください。

なんとシャチが咥えていたのは「イシイルカ」。知床周辺の海に普通に生息する黒と白のイルカの仲間です。

どうやらこの直前にシャチに捕らえられたようで、シャチが肉を引き裂いて食べている最中だったのです。

右側に皮を剥がれたイルカが写っている

スゴイ…。

これを見るとシャチが海の王者であることを実感します。

その後、バラバラにした肉片をもって自分から船に近寄ってきました。

本当に見せにきているようです。

知床周辺のシャチはイカやアザラシなどを食べていることが多いようですが、このようにイルカやクジラを食べる個体群はまれであろうことが推察されます。

このようなグループは「トランジェント」と言われ、あまり定住性が高くありません。そのためか船のガイドさんによると、「こんな光景は年に1度見れるか見れないか」だそう!

とても貴重な光景を見ることができました。

手前の小さな個体は子供

この時に観察できたのはメス2匹と子供1匹の群れでした。

羅臼で見られるシャチは10頭以上に群れていることもありますが、トランジェントは大きな群れを作ることはなく、2、3頭の小さな群れで生活するのが特徴です。

これはトランジェントが海生哺乳類という数が少ないエサを中心に食べているために、家族の個体数が多いと分け合うことができないためです。

よく自分から船に近寄ってくる

どうやら好奇心が強いようで、自分から船に近寄ってくることも何度もありました。

また、海面に上半身を立ち上がらせるように出す「スパイホップ」も行っていました。

スパイホップをするシャチ

スパイホップは周囲を観察するために行うそうです。

私たちは船からシャチを見ていますが、シャチもまた私たちのことを観察しているのです。

この日は他のシャチの群れが見つからなかったようで、この群れを見るためにどんどん船が集まってきて、最終的には6隻くらいの船がかわるがわるこの群れを観察していました。

比較的初期の方から観察していたので、他の船が集まってきたところで私が乗っていた船は離脱しました。

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フルマカモメ
ハシボソミズナギドリの超巨大な群れ

帰りはだいぶ霧が濃くなってきていたのですが、それでもフルマカモメやハシボソミズナギドリの何万羽にもなる群れなど、たくさんの海鳥が観察できました。

その後、霧の中に巨大な影が…!

ナガスクジラ

ナガスクジラです!

写真では伝わりにくいですが、本当に大きいです。さすが、世界で2番目に巨大な動物なだけあります。

海面に怪しい背びれ

そして帰っている最中も何か出たらいいなーと思い、一人船首に立ってきょろきょろしていると、最後の最後に驚きの出会いがありました。

海面に突き出た怪しい背びれ。明らかにサメです。

明るさ調整して見やすくするとこんな感じ。おそらくネズミザメ。

写真の明るさ調整してみるとこうなりました。

後日調べてみると、この時のこの海域の水温は約8℃。サメの大きさは1.5mくらい。このような低水温で表層を泳ぐこの大きさのサメとなると、ほぼネズミザメでいいと思います。

これも実は相当レアなんじゃないかと思ってます。最後の最後にいい出会いがありました!

実はこの前日は海況が悪く出航できなかったので、予備日にきちんと出航できてたくさんの生きものを観察できて本当に良かったです。

羅臼は来るのはとても大変な場所ですが、知床の反対側のウトロや知床五湖、知床峠なども含めて、自然が好きなら訪れて絶対に損のない場所です。

皆さんも羅臼のクルーズにぜひ来てみてください!

本記事の参考文献

箕輪義隆 著・小田谷嘉弥 監修(2024)「新 海鳥ハンドブック 増補改訂版」文一総合出版

村山司(2023)第1版第2刷「シャチ学」東海教育研究所

水口博也(2025)第3刷「シャチ ー オルカ研究全史」東京大学出版会

鈴木百夏ほか(2026)北海道の海には2タイプのシャチがいる ―北海道の海に現れるシャチのエコタイプ解明― 、原著論文:「Suzuki, M., Kawai, M., Hayakawa, T., Kita, Y. F., Sato, Y., Inoue-Murayama, M., Shiozaki, A., Nishida, S., Hiruta, S. F., Ohizumi, H., Nakahara, F., Saino, S., Uni, Y., Matsuda, A. T., Matsuishi, T. F., Tajima, Y., Amano, M., Yamada, T. K., Yoshioka, M., & Mitani, Y.(2025)Whole Mitochondrial Genome Analysis of Killer Whales Reveals the Presence of Resident and Transient Ecotypes Around Hokkaido (日本語参考訳:ミトコンドリアゲノム解析から北海道周辺のシャチのエコタイプがresident とtransient であることを解明) Marine Mammal Science , 42(1): e70107 10.1111/mms.70107」

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