今回は海水水槽にとって重要な「サンゴ砂」についてお話しします。
本記事で分かること
・サンゴ砂とは
・サンゴ砂の役割
・サンゴ砂の使い方
・おすすめのサンゴ砂
▼海水水槽の立ち上げに必要なもの10選
サンゴ砂とは
サンゴ砂はその名の通り「サンゴでできた砂」です。
サンゴの死骸として残った骨格が細かく砕けることによってできていて、沖縄などの南国の島々の砂浜は基本的にサンゴ砂で構成されています。
マリンアクアで飼育される魚たちの多くはサンゴ礁からきたお魚たちで、そんなお魚たちがいた環境では海底にこのサンゴ砂が堆積しています。
なので、サンゴ砂は水槽内に海の環境を再現するためにとっても大切なんです!
サンゴ砂の役割
サンゴ砂にはいくつか水槽内で重要な役割があります。
ここからはそれらをお話ししていきます。
バクテリアの繁殖場所になる
アクアリウムにおいてはろ過が非常に重要です。
このろ過を担うのは硝化バクテリアと呼ばれるバクテリアで、そのバクテリアを繁殖させるために水槽にはろ材をいれたフィルターを設置するんですね。
そして、サンゴ砂はこの硝化バクテリアが繁殖する場所になるんです。
サンゴ砂があれば、水槽立ち上げ後に速やかにサンゴ砂の上や中にバクテリアが繁殖し、そのバクテリアは生体が排せつ物として出す有害なアンモニアをほぼ無害な硝酸に変えてくれます。
したがってサンゴ砂はろ過の安定にとっても大事なんです。
pHを安定させられる
サンゴ砂があると水槽内のpHを安定させることが可能です。
さっきアンモニアが硝酸塩に変わるといいましたが、この硝酸塩は「ほぼ無害」とはいえ「完全な無害」ではないので、たまり続けると有害な硝酸塩を排出するために水換えをするんですね。
▼水換えについて詳しくはこちら
そしてもう一つ大きな問題は、この硝酸塩は「酸」だということです。
海水のpHはアルカリ性なので、マリンアクアで飼育される海水魚たちは基本的にpHが7より高い(pH8とか)アルカリ性を好みます。
しかし硝酸塩が水槽内に増えていくと、pHが徐々に下がって酸性の方向に向かって行ってしまうんです。
そこで重要なのが「サンゴ砂の存在」です。
サンゴ砂は炭酸カルシウム(CaCO₃)によってできていて、詳しい説明は省きますがこれにはpHをアルカリ性の領域で安定させ、低下を防ぐ効果があります。
したがってサンゴ砂があるだけで水槽内の環境をお魚たちが住みやすい環境に安定させることができるんです。
サンゴ砂があるかないかで水槽内のpHの安定のしやすさにはかなり差があると思いますので、サンゴ砂の重要な役割のひとつです。
生き物の住処やエサ場になる
サンゴ砂はたくさんの生き物や魚の住処になります。
上に載せたジョーフィッシュはもちろん、テッポウエビとハゼの共生関係、有名なチンアナゴやニシキアナゴでは砂に巣をつくって暮らします。
高いデトリタス処理能力を持ちながら水槽では嫌われがちなゴカイや、優秀な掃除屋さんのムシロガイ、ウミケムシを食べるらしい(?)オニヒメブンブクも砂の中で生活しています。
またベラの仲間の一部は、寝るときに底砂の中に潜って寝ます。
さらにさらに、ミズタマハゼやオトメハゼなど、砂の中にある有機物や小さな生き物を食べている魚もいます。
▼ミズタマハゼの飼育について
また底砂掃除に大活躍するマガキガイも、底砂上のコケや有機物を食べるので、その能力を買われて水槽のお掃除屋さんとして大人気なんです。
こんな風に、サンゴ砂は色んな生物の生活に関わっているんです!
生き物やライブロックの足場になる
サンゴ砂は足場や基礎としても重要です。
例えば砂の上で生活するヤドカリは、砂がないと水槽の底面のガラスでツルツルすべってしまうのでうまくは歩けません。
また水槽のレイアウトに用いるライブロックは水槽のガラス面に直接置いてしまうとキズの原因にもなってしまうので、サンゴ砂の上に置くことでクッションがわりにすることもできます。
あまりなじみはないですが、海藻や海草などのマリンプランツを飼育する際にはそれらの根を埋め込むのにも役立ちます。
サンゴ砂があれば水槽内の足元を固めることもできるんですね。
見た目がいい
どうでもいいようで結構大きなポイントで、サンゴ砂が敷いてある水槽とそうでないベアタンク(底砂を敷かない水槽のこと)とでは見た目のきれいさが全然違います。
サンゴ砂を敷くと水槽の見た目が引き締まり、南国感もかなりupします!
やっぱり白い砂はいいですよね。
純白の美しい砂を保つのには実はちょっとコツが必要ですが、それを補って余りある美しさがサンゴ砂にはあると感じます。
サンゴ砂の使い方
ここからは実際に水槽の立ち上げ時にサンゴ砂を使うときの方法についてお話しします。
サンゴ砂の選び方
サンゴ砂にはいくつかバリエーションがあり、ひと粒ひと粒が小石くらいのサイズから粉のようなパウダータイプまであります。
このサイズの選び方ですが、個人的にはひと粒が数ミリの小粒タイプやそれよりちょっと大きいくらいのサイズをおすすめします。
ペット通販大手のcharmさんの分類でいうと、スモール~セミラージ~ラージくらいの大きさですね。
なぜかというと、大きすぎると生き物の生活にも邪魔になりますし見た目も微妙です。
また小さすぎるパウダータイプは見た目には非常に優れるのですが、隙間に汚れがたまりやすく、些細なことで巻き上がってしまって管理が大変なので、大きすぎず小さすぎないサイズがおすすめです。
まずよく洗う!
サンゴ砂を買ってきたら、水槽に入れる前によく洗いましょう。
買ってきたサンゴ砂には木の破片などのゴミや不純物がたくさん入っていますし、サンゴ砂自身が砕けた破片が白濁りの原因になります。
なので、バケツの中で手でじゃぶじゃぶとかき回すようにしてよく洗います。
水を入れて、洗って、水を捨ててを10~20回くらい繰り返すと白濁りが薄くなってくるので、まあきれいになってきたなというくらいで大丈夫です。
水槽の底に敷く
サンゴ砂をよく洗ったら水槽の底に敷きます。
厚さに関しては個人的なおすすめは2~3cmくらいですね。
これはいずれ別記事で解説しようと思うのですが、底砂が厚すぎると特定のバクテリアの影響で有害物質である硫化水素の発生の危険がありますし、薄すぎるとはげて水槽の底面が見えてしまう可能性があります。
▼底砂の厚さについて
そこでバランスの取れた2~3cmを個人的にはおすすめしています。
量と厚さの関係については、30cmキューブ水槽なら大体サンゴ砂1Lで1cmの厚さくらいですね。
45cm水槽ならサンゴ砂3Lで2cmくらいです。
砂が巻き上がらないように水をそそぐ
こんな風にビニールなどを底砂の上に敷いて、その上からバケツで水をそそぐと、砂をえぐらずに水をそそぐことができます。
完成!
最後にライブロックなどをレイアウトすれば完成です。
水槽に水を入れた直後は結構濁っていますので、フィルターを回してしばらく待てば濁りが取れてきます。
おすすめのサンゴ砂
ここからはおすすめのサンゴ砂を紹介していきます。
サンゴ砂 5mm程度
シンプルなサンゴ砂ですね。
1kgで小分けになっているので水槽に合わせて量を調整しやすいです。
こちらの商品を販売している貝殻の問屋さんはヤドカリの貝殻も非常に質のいいものを販売しておられるので、ヤドカリの殻が欲しいときにはお世話になるかもしれません!
アラゴナイトサンド
アラゴナイトサンドは簡単に言うと、質のいい炭酸カルシウムの砂です。
サンゴに限らず貝殻の破片なども入っており、pHを整える能力や、KHやカルシウムを飼育水に供給する能力が高いです。
こちらの商品に関しては洗浄焼成済みなので、不純物や雑菌が取り除かれており洗うことなくそのまま水槽に敷くことができます。
アラゴナイトサンドは、charmさんから質のいい商品がたくさん販売されているので要チェックです。
▼アラゴナイトサンドについてはコチラ
ばくとサンド
ばくとサンドもcharmさんから販売されている商品で、最大の特徴は「バクテリア付き」だということです。
このバクテリアは上のほうでも説明した水槽のろ過に貢献するバクテリアで、それが初めから砂についているのでこれを利用するだけで水槽の立ち上げが早まります。
また、ついているバクテリアは水道水で洗うと死んでしまうので、洗う必要がない、というより洗うことができません。
お値段は普通のサンゴ砂と比べてもお高めですが、洗う手間がかからず立ち上げも早まるので絶対におすすめの商品です。
▼バクテリア付きの砂「ライブサンド」についてはこちらで詳しくお話ししています。
まとめ
*サンゴ砂は海水水槽の立ち上げにはほぼ必須!
*水質を安定させる効果がある
*生き物やレイアウトの住処や基礎になる
*敷くだけで南国感up!
*よく洗って水槽にin
*厚さは2〜3cmがおすすめ
*粒は小粒がおすすめ
今回は海水水槽の立ち上げに重要なサンゴ砂について、効果や使い方を説明しました。
サンゴ砂がある水槽とそうでない水槽では、安定感や見た目が全然違うので、立ち上げ時には是非使ってみてください!
▼海水水槽を立ち上げに必要なもの10選