今回は石灰藻の増やし方について、石灰藻の生態をふまえながら解説します。
本記事で分かること
・石灰藻とは?
・石灰藻の増やし方のポイント
石灰藻とは
石灰藻はサンゴモとも呼ばれ、その名の通り石灰を分泌しながら成長する藻類のことです。
アクアリウムでいう石灰藻は「無節サンゴモ」という仲間で、主に赤やピンク、紫色をしており、自然界ではサンゴの死骸上にペンキを塗ったように広がっていきます。
正直、石灰藻それ自体が水槽に増えることによるメリットは「見た目がキレイになる」というくらいしかないのですが…、
しかし石灰藻は良好な水質を保てているときにしか生えないので、石灰藻が生えるということは「お魚やサンゴにとって良い水質を保てている」というバロメータになります。
※水槽によって、必ずしも石灰藻が育つ水質が最適の水質、というわけではありませんが、判断する指標としては使えます。
そして、石灰藻の生態で大事なポイントが、多くは潮間帯(潮の満ち引きで干潮時には海水から出たり、満潮時には海水に浸かったりするエリア)に生息する、ということです。
このエリアは波の影響が強すぎて普通のサンゴが生息できない代わりに、厳しい環境に適応した石灰藻が生息しています。
※「サンゴとサンゴ礁のはなし 南の海の不思議な生態系」本川達雄 著 より
石灰藻の増やし方のポイント
それでは早速石灰藻を増やす方法についてお話しします。
KHとカルシウムが必要
石灰藻はその名の通り石灰(CaCO3、炭酸カルシウム)を分泌しながら成長します。
したがって水槽内に炭酸イオン(CO3²⁻)と、カルシウムイオン(Ca²⁺)がないと増えることができません。
これらは特に多くのサンゴにとっても必要な成分となっており、サンゴを調子よく飼育したい場合にも気をつけておく必要があります。
これらの成分を最も簡単に補給する方法は「水換え」です。
水換えで補給
人工海水中にはこれらの成分がたくさん含まれていますので、石灰藻を増やしたい時は定期的な水換えはかかせません。
▼コーラルプロソルト
添加剤で補給
添加剤による補給もおすすめです。
おすすめは、カミハタさんから販売されている「パープルアップ」と「アラガミルク」です。
パープルアップはカルシウムをメインとして、こちらもかかせないヨウ素も補給してくれる総合添加剤です。
パープルアップの名の通り石灰藻の増殖を目指して作られた商品で、石灰藻の増殖目的にはもってこいの添加剤です。
▼パープルアップ
▼パープルアップの効果についてはこちら
アラガミルクは水槽内のPHとKHを安定させてくれる効果があり、カルシウムや炭酸、ストロンチウムなどを補給してくれます。
▼アラガミルク
硝酸塩、リン酸塩を低く保つ
石灰藻は酸が苦手です。
石灰藻の体をつくる炭酸カルシウムは酸で溶けてしまうからです。
同様に、サンゴにとってもこれらの成分が過剰にある状態は有害です(少量は必要)。
したがって、水槽内の硝酸塩やリン酸塩は低く保つ必要があります。
硝酸塩が5ppmなど低めの値なら問題ありませんが、数十ppmも出ているとなかなか増えてくれません。
リン酸塩も理想値は0.1ppm以下(あくまでも理想)です。これを超えても増えないということはありませんが、なるべく低く保つ必要があります。
どちらも主な対策は水換えや、炭素源の添加などです。
▼硝酸塩の減らし方についてはこちらで紹介しています。
▼炭素源の添加についてはこちら
水流が必要
最初に述べたように石灰藻は波の影響が強いエリアに生息しているため、増殖には水流が意外と大事です。
サンゴやお魚も、適切な水流によって調子が上がります。
石灰藻は水流がないと増えづらいため、水槽内に水流を作ってやりましょう。
▼海水水槽に水流ポンプが必要な理由
▼小型水槽におすすめの水流ポンプ
コントローラー付きのウェーブポンプがひとつあれば水槽の水流問題が解決しますので、おすすめです。
▼おすすめはこちらの「ベスタウェーブ」です。
少々高価ですが、6段階の強さ調節と4種類の運転モード、さらに10分間水流を止める給餌モードや、夜間に水流を弱める夜間モードなどがあり、60cmワイドくらいまでの水槽ならこれひとつでなんでもできてしまいます。
私も利用しています。
コケを減らす
石灰藻もコケの一種なので、他のコケと水槽内で生存競争をします。
ただ石灰藻は成長が遅いので、茶ゴケなど競合するコケがライブロックにたくさん生えている状態では負けてしまいます。
だからまずはコケが生えにくいように水質を安定させたり、コケをお掃除部隊に取ってもらったりすることが必要です。
▼土壌バクテリアは水質を安定させてくれるバクテリア
▼うっすら茶ゴケには「シッタカガイ」
▼もさもさのとろろゴケには「フシウデサンゴモエビ」
▼バクテリアやプランクトンの補充で、水槽内の生物多様性を高めてコケを減らすのも有効
石灰藻を持ち込む
石灰藻も生き物ですから、水槽内に全くいない状態から増えることはできません。
まずは石灰藻を水槽内に持ち込んでやる必要があります。
石灰藻がたくさんついたライブロックを水槽に入れるのが1番です。
おすすめはチャームさんのレッドロックかパープルロックです。
▼石灰藻たっぷりのライブロックを入れればここから他のライブロックに移って増えてくれる。
▼ライブロックの選び方についてはこちら
まとめ
*KHとCaが必要
*硝酸塩、リン酸塩に注意
*水流が必要
*他のコケが増えすぎないように
*石灰藻が増えるための種ライブロックを入れるとよい
今回は石灰藻の増やし方のポイントについてご紹介しました。
ライブロックに石灰藻が増えた赤色が美しい水槽には憧れますよね!
この記事をお読みになってくれた方の水槽に石灰藻が増える手助けになれば幸いです。