スターポリプはその芝生のような美しさと増えやすさ、飼育の簡単さで、サンゴ入門によくおすすめされる品種です。
今回はスターポリプの飼育法とその際の注意点についてお話しします。
本記事で分かること
・スターポリプの特徴
・スターポリプ飼育に必要な環境
・スターポリプの飼育法
・スターポリプの増やし方
・飼育の注意点
▼海水魚飼育をはじめる時に必要なものをまとめています!「これから始めよう」という方は参考にしてください!
スターポリプの飼育早見表
スターポリプの飼育難易度についてまとめてみました。星の数が多いほど要求度・難易度が高いです。
水質 | ★☆☆☆☆ |
---|---|
光 | ★★☆☆☆ |
水流 | ★★★☆☆ |
エサ | ★☆☆☆☆ |
成長・増殖の難易度 | ★☆☆☆☆ |
飼育難易度 | ★☆☆☆☆ |
スターポリプの特徴
見た目
ポリプが咲いていないときはぼつぼつとした突起のあるシート状の膜が岩に張り付いているだけですが、ポリプが咲くとその芝生のような美しい姿を見せてくれます。
青みの強いライトを当てると緑色でメタリックに光って綺麗です。
種類がある
スターポリプにはいくつか種類がありますが、色合いはベージュか緑の2種類しかありません。
緑の方が美しさから値段が高めです。
飼育難易度はベージュの方がやや簡単なようですがあまり変わりません。自然界でもグリーンとベージュは同じ環境に共存していました。
人気な緑色ではポリプの形状にもいくつか種類があり、ポリプがギザギザになっているもの、ツルツルなもの、ポリプがとても長いもの、逆に短いものなど様々です。好みで選ぶと良いでしょう。
▼ベージュのもの
▼グリーンのもの
スターポリプを入手する
値段はサイズにもよりますが、1つ数千円ほどです。高価なものは高価ですが、あまりこだわらなければ安く入手できる方のサンゴといえます。
人気の種のためコンスタントに入荷があり、実店舗でも通販でも容易に手に入ります。
スターポリプの飼育について
水槽
大きい水槽を必要としないため、30cmキューブ水槽程度で充分に飼育できます。
水質
スターポリプはサンゴの中では非常に強健です。水質の悪化にとても強く、サンゴ入門としての導入がおすすめできます。
硝酸塩が50mg/Lほど出ていてもピンピンしています。
またスターポリプなどのソフトコーラルは硝酸塩などの栄養塩を利用するため、逆に硝酸塩が全く検出されない環境には向いていないようです。
硝酸塩がある環境でも平気なためろ過方式は特に問いません。外掛けフィルターや外部フィルターで十分に飼育できます。
▼水槽のろ過を担うフィルターについてはこちら
水温
基本的には水温は25℃前後で管理するとよいです。
これよりも低水温・高水温になってしまうと調子が悪くなるので、冬場はヒーター、夏場はクーラーでの管理が必要です。
▼水槽用のクーラーについて知りたい方はこちら
光
スターポリプは光合成をするので、飼育にはライトが必要です。
光にはあまりうるさくなく、光量の高くないLEDのなどでも十分に飼育できます。
しかしあまりに光量が低かったり、何かの影になったりして光が当たらなかったりすると痩せてきて弱ってしまいます。
しっかりした光量があるとスターポリプは増殖しやすくなるうえ綺麗なグリーンで輝いてくれるため、光量はそこそこのものを用意するのがおすすめです。
具体的にはグラッシーソーラーやグラッシーレディオ、トライアングルLEDマリンなどの光量の強いLEDがおすすめです。
▼グラッシーソーラー。私も利用しているライト。光量が高くこれひとつで60cmワイド水槽くらいまでは大丈夫。システムLEDなので任意の時間に点灯・消灯、光量・波長の調節が可能。
▼グラッシーレディオ。スポットライト。RX072、RX122、RX201の3シリーズがあり、シリーズ内でも商品ごとの色合いの違いによって多様なニーズに対応。私もハタゴイソギンチャクの飼育に利用。072以外のふたつは別売りのユニット接続で半システムLED化が可能。
▼トライアングルLEDマリン。バータイプなので水槽にそのまま載せられる。30cmから120cmまで幅広い水槽に対応。光量もソフトコーラルの飼育には十分。これは45cm水槽用。
▼ソフトコーラルの飼育におすすめのLEDライトについてはこちらでさらに詳しくお話ししています。
水流
水流はあった方が良いです。ポリプが出てくる元となる部分は凹凸があり水流がないと汚れが溜まってしまいがちになり調子を崩してしまいます。
また、水流があるほうがないより増えやすいように感じます。
割と強めになびかせるような水流で構いません。コントローラー付きのウェーブポンプがひとつあれば水槽の水流問題が解決しますので、おすすめです。
おすすめはこちらの「ベスタウェーブ」です。少々高価ですが、6段階の強さ調節と4種類の運転モード、さらに10分間水流を止める給餌モードや、夜間に水流を弱める夜間モードなどがあり、60cmワイドくらいまでの水槽ならこれひとつでなんでもできてしまいます。
エサ
スターポリプの飼育にはエサはいりません。しかしリーフエナジーなどの液体状のサンゴフードを与えると、成長速度、増殖速度が早まります。
▼バイタリス ソフトコーラルフードはソフトコーラル用のエサ。粉末状で、飼育水と混ぜてスポイトで振りかけるように与える。
▼リーフエナジーはサンゴ用の液体フードで、水槽に規定量を入れるだけで給餌可能。
リーフエナジーは優秀なサンゴフードで、定期的に添加することでサンゴの成長スピードが速まります。値段も高くないのでおすすめです。
▼リーフエナジーのレビューはこちら
成長しやすさ
環境にもよりますが、スターポリプはかなり増殖しやすいサンゴです。まず基盤となる共肉が広がり、そこから新たな株が生えてくるように増えます。
その増殖速度はすさまじく、我が家のスターポリプでは新たな子株が1週間から2週間程度で大きくなり、またその根元から子株が出てくるというように増殖しています。
▼スターポリプの増やし方について
ただ、スターポリプは逆に増殖速度が速すぎて、他のサンゴに対する侵略性能がとても高いです。
実際に自然界でも、スターポリプは他のサンゴの領域を侵しながら増えていく凶悪なサンゴです。
水槽内でも活着させている場所次第ではこういうことが容易に起こり得るので、注意が必要です。
増えすぎた場合は活着しているライブロックを割って分割する方法や、岩に活着していなかったり岩から共肉をはがせたりした場合はその共肉をハサミやカッターで直接カットすることで分割する方法があります。
▼スターポリプの株分けについて
また、スターポリプのレイアウト前であれば、スターポリプが活着している岩を他のライブロックから離した区画に設置するという対策があります。
スターポリプは砂やガラス面の上でも成長しますが、岩の上と違って共肉をはがすのが容易なため広がってもカットしやすく、スターポリプをその離れ小島にとどめることができるためです。
私もそのようにして設置しています。
水替え
水替えは怠らないようにしましょう。スターポリプは強健なサンゴですが、硝酸塩がたまって悪化した水質では色合いが落ちます。
また水替えをしないことで水中の微量成分が欠乏して成長しづらくなってしまいます。
水替えについては水槽の大きさや飼育している魚の匹数にもよりますが、大体1週間に水槽の水量の10%程度の水替えがおすすめです。
硝酸塩については、試験紙や試薬を購入して適宜測定し、50mg/Lを超えるようでしたら水替えが必要です。硝酸塩は、この50という数字を超えないように水替えで管理するのが理想です。
安価なものでもよいので試験紙などを購入し、硝酸塩は測ったほうが良いです。
▼試験紙タイプのもの。結果は大雑把ですが、値段は安価で目安には十分とコスパは最強です。
▼試薬タイプのもの。値段は高いですがかなり正確に測れます。ステップアップにおすすめです。
▼硝酸塩について、またそれを減らす方法についてはこちら
飼育の注意点
たまに開かなくなることがある
スターポリプは突然開かなくなることがあります。
そのような時は水質や光、水流など何かが気に入らない可能性があります。
放っておいても咲き始めることはありますが、咲いていない間に共肉にコケが生えたりしてしまうとそのまま弱って落ちてしまうこともあります。
最も考えられるのは光が弱いということでしょうか。我が家のスタポも光が弱い場所に移動すると途端に咲かなくなってしまいますが、光が強く当たるようにすると咲き始めます。
そのため咲かない時は、水流や光を調節したり、水替えをしたり、スターポリプにコケが生えているようなら歯ブラシでこするなどして取り除いてあげることが必要です。
条件が整えば自然と咲き始めます。
▼スターポリプが開かないときの原因と対策
チョウチョウウオやヤッコとの飼育には注意
チョウチョウウオ類やヤッコ類には、サンゴを食べてしまうものもいます。
特に中型・大型ヤッコは注意のようです。そのほかの種類は心配いらない場合が多いようです。
スターポリプも標的になり得るため、混泳は避けたほうが良いでしょう。
ヤドカリに乗られたり落とされたりすることもある
海水水槽でよく飼育されるヤドカリはサンゴの上に乗ったり、歩く過程でサンゴを落としてしまったりすることがよくあります。
これらはサンゴにとって当然ストレスになるため、よいとは言えません。
ヤドカリと混泳する場合は落とされないように水中ボンドで岩に固定したりといった対応がおすすめです。
▼ライブロックなどへサンゴを固定するときにおすすめなアクアリウム用ボンド
接触に注意
スターポリプにはそこそこの毒性があります。
ウミキノコなどの毒性の弱いサンゴに接触すればダメージを与える可能性がありますし、逆にハナサンゴ類などの毒性の強いサンゴにはダメージを与えられてしまう可能性もあります。
またスターポリプは岩の表面を覆うように広がる性質上、他のサンゴを根本から侵略してしまいます。
サンゴ全般に言えることですが、ほかのサンゴとの接触には注意しましょう。
対策としては先ほども紹介したように、スターポリプを離れ小島のようにしたライブロックに活着させたり、株分けをしてしまうというものがあります。
まとめ
*強健で飼育しやすい!初心者におすすめ
*30cmキューブ水槽でも充分に飼える
*水温は25度が安定
*エサは必要ないが与えるとよく増える
*光は強力である必要はないがしっかり当てれば良く増え、色も美しくなる
*水流はある程度あった方がよい
*突然咲かなくなった時は環境を変えてみる
*コケがついたりゴミが乗ったりしたら落としてあげる
*チョウチョウウオ類、ヤッコ類、ヤドカリとの混泳には注意
スターポリプは飼育が簡単でとても美しいサンゴで、増やす楽しみもある素晴らしいサンゴです。
気になったらぜひ挑戦してみてください!
▼スターポリプが気になった方は、こちらから購入できます。