今回はクマノミ類とイソギンチャクの相性についてお話しします。
本記事で分かること
・クマノミとは
・各クマノミにおすすめのイソギンチャク
そもそも「クマノミ」ってどんないきもの?
一般的に「クマノミ類」とはスズキ目ベラ亜目スズメダイ科クマノミ亜科クマノミ属に分類される仲間のことを指します。
この仲間の特徴は何といってもイソギンチャクとの共生ですよね!
イソギンチャクは毒針を持ちますが、クマノミは特殊な粘液を持つためこの毒針に刺されることがありません。
そこでクマノミはイソギンチャクの中に入って自分の身を守る代わりに、イソギンチャクの身の回りのお世話をしてあげるという「相利共生」の関係が出来上がっています。
ちなみにこの共生ですが、すべてのクマノミが同じイソギンチャクに共生するわけではなく、それぞれのクマノミごとに共生するイソギンチャクが決まっています。
また共生するイソギンチャクにも相性があり、共生しやすい、しにくいなど差があります。
さらに、自然界では共生しないけど水槽内では共生する、といった事例もよくあります。
水槽内でクマノミとイソギンチャクの共生を再現したいのであれば、このあたりを考慮して飼育する種類を事前に考える必要があるんですね。
クマノミとイソギンチャクの相性早見表
こちらがクマノミ類のイソギンチャク相性表。なお作成は「イソギンチャクガイドブック(内田紘臣・楚山 勇、2001)」などの文献のほか、自らがダイビングおよびシュノーケル、水族館などで撮影したクマノミの生態写真に基づいて行いました。
日本に生息する主要な6種のクマノミ類に絞って作成しました。また各クマノミの近縁種および品種改良種は、その元となった種の相性に準じると考えていいでしょう。
こう見るとクマノミごとに本当に個性があることがわかります。次章でそれぞれのクマノミ類についてお話します。
なお、今回紹介するのはあくまでも文献や経験を参照して「そういう事例が多く確認できているから確率は高いよ!」というものになります。
水槽内では自然界では絶対あり得ない組み合わせが生じることも普通にありますし、今まで確認できていなかった組み合わせが見つかることもあります。
その辺りはご承知おきください。
各クマノミとイソギンチャクの相性
カクレクマノミ
カクレクマノミは自然界ではハタゴイソギンチャクかセンジュイソギンチャクと共生します。
水槽内ではサンゴイソギンチャク、シライトイソギンチャク、ロングテンタクルアネモネなどとの共生を確認していますが、この辺は個体による部分も大きいです。
ただカクレクマノミはブリード個体が広く出回っており、こういった個体は自然の本能がガバガバなのか、ウミキノコやイソギンチャクモドキ、スターポリプなどのサンゴの仲間に共生する個体も見たことがあります。
中には下の写真のようにコケに共生する子たちまで(笑)。
我が家の子も一時ウミキノコに共生していましたし、長くてフワフワしているものなら入りたくなるみたいです。
ただ、自然な姿を見たいのであればハタゴイソギンチャクが最もおすすめです。
センジュイソギンチャクも共生はしますが、値段が高いうえに移動しやすい、めちゃくちゃでかくなるなど、イソギンチャク側の問題でそこまでおすすめでもないです。
クマノミ
クマノミは共生するイソギンチャクの幅が最も広く、割とどんなイソギンチャクでも共生してくれます。
自然界で最も見かけるのはサンゴイソギンチャクとの組み合わせで、水槽内でもその組み合わせが最もおすすめ。
次点でおすすめはロングテンタクルアネモネで、シライトイソギンチャクやイボハタゴイソギンチャクでもOKです。
ホントに色んな種類のイソギンチャクと共生するので、相手に困ることはあまりないです。好きなイソギンチャクと組み合わせるとよいでしょう。
ハマクマノミ
ハマクマノミは自然界ではほぼタマイタダキイソギンチャクのみと共生します。今まで自然界で数多のハマクマノミを見てきましたが、これ以外の組み合わせを見たことがありません。
ただ水槽内ではサンゴイソギンチャク、シライトイソギンチャクとの共生例を確認しています。
特にこだわりがなければ、水槽内でもタマイタダキイソギンチャクと共生させることをおすすめします。
ただ逆にタマイタダキイソギンチャクにほかのクマノミが入っているのも見たことがないので、ハマクマノミータマイタダキイソギンチャクはほぼ専門の組み合わせですね。
ハナビラクマノミ
ハナビラクマノミは自然界ではシライトイソギンチャクとの共生を最も見かけますが、センジュイソギンチャクと共生している例もよくあります。
私の経験上では水槽内で他のイソギンチャクと共生している例は見たことがないです。シライトイソギンチャクが飼育しやすいので、その関係でしょうか?
同様に水槽内でもシライトイソギンチャクとの共生がおすすめです。
セジロクマノミ
セジロクマノミは自然界ではアラビアハタゴイソギンチャクとの共生しか私は見たことがないですが、センジュイソギンチャクとも共生するようです。
水槽内ではサンゴイソギンチャク、シライトイソギンチャク、ハタゴイソギンチャクとの共生を確認しています。
飼育する際にもアラビアハタゴイソギンチャクと共生させるのが最もおすすめですが、アラビアハタゴはレアなうえに高価。
それを考えると水槽内ではシライトイソギンチャクとの共生がおすすめかもしれません。上の写真のようにフォーチュンアクアリウムではシライトイソギンチャクに入り浸っていました(笑)。
トウアカクマノミ
トウアカクマノミは自然界ではほぼイボハタゴイソギンチャクのみに共生しますが、ロングテンタクルアネモネ(マバラシライトイソギンチャク)との共生もまれにですが見られます。
水槽内ではノーマルのシライトイソギンチャクとの共生も確認しています。
飼育する際もイボハタゴイソギンチャクが最もおすすめのイソギンチャクになりますが、販売頻度がそこまで高くありません。
イボハタゴイソギンチャクが見つかればそれが一番ですが、そうでなければロングテンタクルアネモネやシライトイソギンチャクも選択肢になりえます。
まとめ
おすすめのイソギンチャクは?
*カクレクマノミはハタゴイソギンチャクやセンジュイソギンチャク
*クマノミはサンゴイソギンチャクやロングテンタクルアネモネ
*ハマクマノミはタマイタダキイソギンチャク
*ハナビラクマノミはシライトイソギンチャク
*セジロクマノミはアラビアハタゴイソギンチャク
*トウアカクマノミはイボハタゴイソギンチャク
今回はクマノミの種類ごとにおすすめのイソギンチャクを紹介しました。
どのクマノミの特色があって面白いので、水槽内でイソギンチャクとの共生を再現して飼育を楽しんでみてください!
ただ絶対はないので、いろいろ試してみるのもおもしろいかもしれませんね。コケに共生するカクレクマノミがいるくらいですし…(笑)。
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