今回は「ソフトコーラル」「LPS」「SPS」、ついでに「陰日性サンゴ」のそれぞれについてどんなものかをお話しします。
本記事で分かること
・サンゴとは
・ソフトコーラル、LPS、SPS、陰日性サンゴのそれぞれの違いや特徴について
まずサンゴって何?
実は、サンゴは動物です。
サンゴの体は「ポリプ」といい、ひとつひとつのポリプがたくさん集まって大きな体を作っていて、それを「群体」と言います。
多くのサンゴはこの群体の状態で生活しています。また逆に、ひとつのポリプで生活する単体性のサンゴもいます。
サンゴはこのポリプの中に「褐虫藻」という藻類が住まわせていて、安全な住み家を提供する代わりに、褐虫藻が光合成で作り出した栄養分をもらっています。
これがなかなか良くできていて、褐虫藻はサンゴに栄養を提供しますが、褐虫藻はサンゴの排せつ物を直接もらっていて、それを養分とすることができるようです(※)。
※「サンゴとサンゴ礁のはなし 南の海の不思議な生態系」本川達雄 より
ただ例外もおり、光合成をせずプランクトンなどを捕まえて栄養を得るサンゴの仲間も多く存在します。
そのような仲間は「陰日性サンゴ」と呼ばれます。
サンゴの種類の分け方について
これらのサンゴはジッサイに海水水槽で飼育することが可能なのですが、やっぱり種類ごとに飼育難易度や特徴に違いがあります。
まず海水水槽で飼育するサンゴはおおまかに「ソフトコーラル」「ハードコーラル」という2つのグループに分けられます。
さらに「ハードコーラル」は「LPS」と「SPS」に分けられます。
ちなみに「陰日性サンゴ」はソフトコーラルにもハードコーラルにも含まれています。
簡単に図解するとこんな感じ。
ここからはこれらの種類についてお話しします。
※今回紹介するのはあくまでも海水水槽で飼育するサンゴの見た目や生態による大まかな分け方なので、分類学的な種類の分け方ではありません。
ソフトコーラル
ソフトコーラルはその名の通りやわらかいサンゴです。
骨片という微細な骨の欠片を体の中に持っていて、それで身体を支えます。
ソフトコーラルは例外はあるものの飼育しやすい種類が多く、サンゴ飼育に初挑戦する方にもおすすめできます。
成長や増殖が早いものも多く、自宅の水槽で増やす楽しみが感じやすいところもおすすめポイントです。
ソフトコーラルの中には非常に多くの仲間が含まれていて、色んな個性を楽しめるのでぜひ自分の好みのソフトコーラルを探してみるといいですよ!
「葛西臨海水族園」や「名古屋港水族館」にはソフトコーラルメインの大きな水槽があったかと思うので、行かれた際はチェックしてみてください!
▼海水水槽で飼育できるソフトコーラルの種類について
▼飼育難易度が低めなおすすめソフトコーラル
ハードコーラル
LPS
「LPS」とは「Large-Polyped Scleractinian」の略で、これは「大きなポリプのサンゴ」の意です。
LPSは硬い骨格を持つものの、ポリプが大きく膨らむものがまとめられています。
硬い骨格を基盤としてぷにぷにやふさふさの大きなポリプを広げる姿がかわいらしいです。
LPSにも飼育が比較的しやすい種類も多く、ブルーのライトを当てることでとても美しく輝くものもあります。
ソフトコーラルよりはやや飼育が難しくなる種類もあるのですが、それほど難しいかと言われればそうでもないのでステップアップにおすすめのサンゴの仲間といえます。
沖縄の「DMMかりゆし水族館」には蛍光色が美しいLPSが数多く展示されていました!
SPS
「SPS」とは「Small-Polyped Scleractinian」の略で、これは「小さなポリプのサンゴ」の意。
SPSはLPSとは対照的に硬い骨格をしっかりと基礎にして、その基礎に数ミリのポリプがはまり込むような構造になっています。
石灰分を積極的に分泌し骨格を作り、環境があった水槽では確実に成長していく様子が観察できます。
一般に「サンゴ」と言われてまず想像する見た目はこのSPSのものでしょう。
種ごとに差はありますが、一般的に飼育が難しいとされていて、水質や水温の変化にとても敏感です。
実は私もまだ飼育したことがないので、いずれは挑戦してみたい仲間ですね。
「美ら海水族館」の一番最初の巨大サンゴ水槽にはソフトもLPSもSPSもありましたが、やはりSPSが圧巻でしたので、注目です!
番外編:陰日性サンゴ
ここからは番外編。
海水水槽で飼育するサンゴは基本的には光合成をすることで栄養を得るサンゴなのですが、「陰日性(かげびせい)」の名の通り、このグループのサンゴは光合成をしません。
その代わりにプランクトンなどをポリプで捕まえて栄養にします。
陰日性のサンゴは光合成をしないため高頻度でエサを与えなければならず、水温も低めを要求する種類が多いので、飼育はムズカシイというか、手間がかかります。
この仲間はソフトコーラルの中にもハードコーラルの中にもいるのですが、飼育方法や難易度が光合成をするサンゴとはあまりにも異なるので、別枠で紹介しました。
しかし見ての通り色彩は非常に美しく、専門で水槽を作って飼育するアクアリストの方も多いです。
「サンシャイン水族館」や「葛西臨海水族園」「しながわ水族館」「四国水族館」など多くの水族館に展示がありますが、中でも「サンシャイン水族館」の水槽はほんとうに素晴らしくて美しいので、気になったら見に行ってみてください!
まとめ
*サンゴは動物!多くは光合成をする褐虫藻を共生させている
*ソフトコーラルは飼育もしやすく入門におすすめ。ゆらゆら揺れて楽しい
*LPSは蛍光色が美しいものが多い。飼育がしやすいものも多くある
*SPSは「The サンゴ」。飼育はムズカシイがSPSが茂った水景は圧巻
*陰日性サンゴはエサやりの手間がかかるが、非常に美しい
今回は海水水槽で飼育できるサンゴの大まかな見た目や特徴ごとの分け方について紹介しました。
どの仲間も特徴的で美しく、専門で飼育する水槽を作るととっても魅力的な水景を作ることができます。
気になる種類があればぜひ飼育してみてください!
※本記事を執筆するにあたり使用した参考図書
「サンゴとサンゴ礁のはなし 南の海の不思議な生態系」本川達雄
「サンゴを上手く飼うための本 飼育環境・難易度別で理解するサンゴカタログ」