ウミキノコは飼育が簡単で大きく成長し、繊細に開くポリプが美しいことからサンゴ入門によくおすすめされる品種です。
今回はウミキノコの飼育法とその際の注意点についてお話しします。
本記事で分かること
・ウミキノコの特徴
・ウミキノコ飼育に必要な環境
・ウミキノコの飼育法
・ウミキノコの増やし方
・飼育の注意点
▼海水魚飼育をはじめる時に必要なものをまとめています!「これから始めよう」という方は参考にしてください!
ウミキノコの飼育早見表
ウミキノコの飼育難易度についてまとめてみました。星の数が多いほど難易度が高く、少ないほど簡単になっていきます。
水質 | ★☆☆☆☆ |
---|---|
光 | ★★☆☆☆ |
水流 | ★★☆☆☆ |
エサ | ★☆☆☆☆ |
成長・増殖の難易度 | ★★☆☆☆ |
総合飼育難易度 | ★★☆☆☆ |
ウミキノコの特徴
見た目
基本はその名の通りキノコのような形をしていて、そこからもやしのような1次ポリプが生え、さらにその先の2次ポリプが花を咲かせるように開きます。
綺麗に開くと繊細な美しさがあります。
種類がある
ウミキノコにはいくつか種類がありますが、色合いはベージュかグリーンの2種類です。
グリーンの方が値段が高い傾向にあります。
飼育難易度はどちらも同じですが、成長速度はベージュ系のほうが早いようです。
ポリプの形状にもいくつか種類があり、1次ポリプが短いショートポリプや、逆に長いロングポリプ、2次ポリプが花を咲かせるように美しく開くフラワーポリプなどです。好みで選ぶと良いでしょう。
また、ヒラウミキノコやオオウミキノコなど、近縁種もよく販売されています。
▼ロングポリプ
▼メタリックグリーンのもの
カクレクマノミが入るかも
ウミキノコはその形状から、自然界ではイソギンチャクと共生するカクレクマノミが共生することもあります。
実際に我が家でもカクレクマノミがウミキノコに入っていました。
▼カクレクマノミがウミキノコに入ることについて詳しくはこちら
脱皮する
ウミキノコは脱皮をします。どんな時に脱皮をするかはよくわかりませんが、環境変化が起こった際やゴミやコケがついてしまった時などに起こっているように感じます。
脱皮をする時は急に数日ポリプを開かなくなり、薄皮がペラペラ剥がれてくるように脱皮します。
脱皮した後はそれまでが嘘のようにポリプを満開に開かせます。
▼ウミキノコが開かないことについてはこちら
ウミキノコを入手する
値段はサイズにもよりますが、1つ数千円ほどです。高価なものは高価ですが、あまりこだわらなければ安く入手できる方のサンゴといえます。
人気の種のためコンスタントに入荷があり、実店舗でも通販でも容易に手に入ります。
ウミキノコの飼育について
水槽
大きい水槽を必要としないため、30cmキューブ水槽程度で充分に飼育できます。
ただ大きくなるのが早く、長い目で見ると大きな水槽が必要です。
しかし大きくなったらハサミやカッターで切って株分けということも可能ですのでそこまで心配は要りません。
水質
ウミキノコはソフトコーラルの中でも丈夫な方で、水質の悪化に強いです。
またウミキノコなどのソフトコーラルは硝酸塩などの栄養塩を利用するため、逆に硝酸塩が全く検出されない環境には向いていないようです。
硝酸塩がある環境でも平気なためろ過方式は特に問いません。外掛けフィルターや外部フィルターで十分に飼育できます。
▼水槽のろ過を担うフィルターについてはこちら
水温
基本的には水温は25℃前後で管理するとよいです。
ウミキノコは高水温に弱く、水温が28℃以上になるとポリプを開かなくなり目に見えて調子が悪くなるので、冬場はヒーター、夏場はクーラーでの水温管理をおすすめします。
▼水槽用のクーラーについて知りたい方はこちら
光
ウミキノコは光合成をするので、飼育にはライトが必要です。
光にはあまりうるさくなく、光量の高くないLEDのなどでも十分に飼育できます。
しかしあまりに光量が低かったり、何かの影になったりして光が当たらなかったりすると痩せてきて弱ってしまいます。
強力なライトである必要はありませんが、しっかり綺麗にポリプを開かせるためにはある程度の光量が必要です。
具体的にはグラッシーソーラーや、グラッシーレディオ、トライアングルLEDマリンなどの光量の強いLEDがおすすめです。
▼グラッシーソーラー。私も利用しているライト。光量が高くこれひとつで60cmワイド水槽くらいまでは大丈夫。システムLEDなので任意の時間に点灯・消灯、光量・波長の調節が可能。
▼グラッシーレディオ。スポットライト。RX072、RX122、RX201の3シリーズがあり、シリーズ内でも商品ごとの色合いの違いによって多様なニーズに対応。私もハタゴイソギンチャクの飼育に利用。072以外のふたつは別売りのユニット接続で半システムLED化が可能。
▼トライアングルLEDマリン。バータイプなので水槽にそのまま載せられる。30cmから120cmまで幅広い水槽に対応。光量もソフトコーラルの飼育には十分。これは45cm水槽用。
▼ソフトコーラルの飼育におすすめのLEDライトについてはこちらでさらに詳しくお話ししています。
水流
水流はあった方が良いです。
ウミキノコは形状的にポリプの隙間や本体のくぼみにゴミがたまりやすいので、それらが積もってしまわないくらいの水流は必要です。
隙間にゴミがたまってしまっても縮んだり脱皮したりしてどうにかすることが多いですが、ポリプが咲く時間が減ってしまうので魅力が下がるからです。
基本的にフィルターやオーバーフローの排水口からの水流でも問題ありませんが、逆に本体が倒れてしまわない程度に強めの水流でも大丈夫です。
コントローラー付きのウェーブポンプがひとつあれば水槽の水流問題が解決しますので、おすすめです。
おすすめはこちらの「ベスタウェーブ」です。少々高価ですが、6段階の強さ調節と4種類の運転モード、さらに10分間水流を止める給餌モードや、夜間に水流を弱める夜間モードなどがあり、60cmワイドくらいまでの水槽ならこれひとつでなんでもできてしまいます。
エサはいる?
ウミキノコの飼育にはエサはいりません。しかしリーフエナジーなどのサンゴフードを与えると、成長速度、増殖速度が早まります。
▼バイタリス ソフトコーラルフードはソフトコーラル用のエサ。粉末状で、飼育水と混ぜてスポイトで振りかけるように与える。
▼リーフエナジーはサンゴ用の液体フードで、水槽に規定量を入れるだけで給餌可能。
リーフエナジーは優秀なサンゴフードで、定期的に添加することでサンゴの成長スピードが速まります。値段も高くないのでおすすめです。
▼リーフエナジーのレビューはこちら
成長しやすさ
ウミキノコは成長しやすいサンゴです。
特にグリーンのものよりも通常のベージュのもののほうが成長速度が速いです。
株分け
もし大きくなりすぎるようなら、ウミキノコを直接ハサミやカッターでカットして株分けをすることが可能です。
茎を切って上下に分けても、傘の部分を分割するように切っても構いません。切られた部分は自然に再生し、いずれもとのキノコ型に戻ります。茎を切っても、切られた切り株の部分からいずれポリプが出てきますし、生命力がすさまじいです。
切った側の部分は、つまようじなどでライブロックやプラグの上に固定するか、水中ボンドなどで接着しておけば自然と活着します。
▼水中ボンド
切った際には切り口からダメージを受けないよう、「リーフディップ」のようなサンゴに活力を与える成分を含む製品でトリートメントを行うとなおよいです。
▼サンゴのトリートメントにおすすめなリーフディップ
水替え
水替えは怠らないようにしましょう。
ウミキノコは丈夫なサンゴですが、水替えをしないことで水中の微量成分が欠乏して成長できなくなってしまいます。
水替えについては水槽の大きさや飼育している魚の匹数にもよりますが、大体1週間に水槽の水量の10%程度の水替えがおすすめです。
硝酸塩については、試験紙や試薬を購入して適宜測定し、50mg/Lを超えるようでしたら水替えが必要です。硝酸塩は、この50という数字を超えないように水替えで管理するのが理想です。
安価なものでもよいので試験紙などを購入し、硝酸塩は測ったほうが良いです。
▼試験紙タイプのもの。結果は大雑把ですが、値段は安価で目安には十分、縦半分に切って使えば50回使えるなど、コスパは最強です。
▼試薬タイプのもの。値段は高いですがかなり正確に測れます。ステップアップにおすすめです。
▼硝酸塩について、またそれを減らす方法についてはこちら
飼育の注意点
脱皮の時は数日開かない
突然ポリプが咲かなくなった!と思ったら脱皮だったということがよくあります。
脱皮前は急に数日ポリプが開かなくなることが多いため、環境を変えていないのに急に開かなくなったという時は脱皮であることが多いです。
このポリプが出ない状態は見た目の変化がすごく、ポリプを完全に閉じまんじゅうのように縮こまることもあります。
1週間以上かかることもありますが、そういう時は放っておけば脱皮後は綺麗にポリプを咲かせてくれますので、問題ありません。
▼ウミキノコが開かないことについてはこちら
チョウチョウウオやヤッコとの飼育には注意
チョウチョウウオ類やヤッコ類には、サンゴを食べてしまうものもいます。
ウミキノコも標的になり得るため、混泳は避けたほうが良いでしょう。
ヤドカリに乗られたり落とされたりすることもある
海水水槽でよく飼育されるヤドカリはサンゴの上に乗ったり、歩く過程でサンゴを落としてしまったりすることがよくあります。
これらはサンゴにとって当然ストレスになるため、よいとは言えません。
ヤドカリと混泳する場合は少し注意が必要ですが、乗られて一旦閉じてもヤドカリが降りれば元に戻るので、ずーっと乗り続けられてしまうといったことでない限りは心配いりません。
接触に注意!
ウミキノコは毒性が強くなく、毒性の強いスターポリプやLPSのハナサンゴ類などと接触すると毒に負け、その部分が腐って溶けてしまいます。
サンゴに共通して言えることですが、他のサンゴとの接触には注意しましょう。
まとめ
*強健で飼育しやすい!初心者におすすめ
*30cmキューブ水槽でも充分に飼える
*水温は25度が安定
*エサは必要ないが与えるとよく成長する
*光は強力である必要はないがしっかり当てれば良く育ち、ポリプも開きやすい
*水流はある程度あった方がよい
*突然咲かなくなった時は環境を変えてみる
*コケがついたりゴミが乗ったりしたら落としてあげる
*チョウチョウウオ類、ヤッコ類、ヤドカリとの混泳には注意
ウミキノコは飼育が簡単でユニークな見た目が面白いサンゴですよね。
気になったらぜひ挑戦してみてください!
ウミキノコが気になった方は、こちらから購入できます。