【ダイビング】ムチカラマツにつく生きもの一覧!〈エビ・カニ・ハゼ〉
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・ムチカラマツとは
・ムチカラマツを住みかにする生きものたち
ムチカラマツとは?

「ムチカラマツ」は六放サンゴ亜綱ツノサンゴ目に属するサンゴです。
六放サンゴ亜綱はサンゴ礁を作るタイプの「イシサンゴ目」を含む仲間なので、ムチカラマツはれっきとしたサンゴの仲間です。しかしムチカラマツはサンゴ礁を作ることはありません。
伊豆の海からサンゴ礁域まで広い海域に生息し、伊豆では水深15mくらいから観察できる印象です。

ムチカラマツは地面から1本で生えるように成長しますが、その表面には無数のポリプ(サンゴの1個体。イソギンチャクみたいなもの)が生えています。
ムチカラマツはそのポリプで流れてくるプランクトンを捕まえて食べることで生きています。植物ではなく、ちゃんと食事をする「生きもの」なんです。
そしてムチカラマツの上には、エビをはじめとする様々な共生生物が住み着いています。このような生きものが住み着く基盤となる生きものを「ホスト」ともいいます。
ムチカラマツに住む生きものたち
ムチカラマツエビ Pontonides cf. loloata

「ムチカラマツエビ」はその名の通りのムチカラマツに住むエビで、写真のようにペアで観察できることも多いです。
ムチカラマツをサーチすると一番よく見つかるエビで、ムチカラマツの色に合わせてムチカラマツエビの色も白から黄色までいます。

ムチカラマツエビは日本に数種類いることが報告されており、今後の研究で今まで「ムチカラマツエビ」だと思っていたものが別種になる、なんてことがあるかもしれません。
研究の進展が楽しみですね!
生息地:南日本、インド・西太平洋
ビシャモンエビ Dasycaris zanzibarica

「ビシャモンエビエビ」はムチカラマツエビよりもトゲトゲしい見た目をしていて、その見た目を「毘沙門天」になぞらえて名づけられたのでしょう。
かなりカッコいい見た目をしている上に、ムチカラマツに住むエビの中では大きくて見つけやすいので、個人的に好きな種類です。

子供のころはもうちょっとスラっとしており、大人のメス(ビシャモンエビはメスの方が大きい)のトゲトゲしい感じとは異なります。
ムチカラマツエビよりは生息数は少ないですが、ムチカラマツを丁寧に探していけば十分に見つけられます。
生息地:南日本、インド・西太平洋
キミシグレカクレエビ Dasycaris zanzibarica

「キミシグレカクレエビ」はムチカラマツエビとビシャモンエビによく似ています。
キミシグレカクレエビに比べると、ムチカラマツエビは背中に大きな突起がなく、ビシャモンエビはハサミ脚が短く、全体のフォルムがよりトゲトゲしいので、海中でも見分けることは可能です。
ムチカラマツエビやビシャモンエビよりもかなり個体数が少ないので、観察できる機会は限られます。
生息地:伊豆半島以南、インド・西太平洋
ウミカラマツエビ Anachlorocurtis commensalis

「ウミカラマツエビ」はその名の通りウミカラマツによく住んでいるエビなのですが、先日のダイビングでムチカラマツに住んでいる姿を見つけました。
1本で育つムチカラマツと違い、ウミカラマツはホウキのように枝が広がるサンゴです。なんとなく枝がたくさんある方が安全な気がするので、本来の生息地であるウミカラマツではなくわざわざムチカラマツを選んでしまったこの個体は何を考えたのでしょうか…?
でもこのような発見があるのも、ダイビングの楽しみかもしれません。
生息地:本州中部以南
イボイソバナガニ Xenocarcinus tuberculatus

「イボイソバナガニ」は「イソバナ」の名は持ちますが、イソバナではなくムチカラマツやネジレカラマツなどのサンゴに生息するカニです。
その長い脚でムチカラマツをぎゅっと掴んで、ポリプに体をうずめている姿がかわいらしいです。
大きさもそこそこ大きく、さらに長い角まで持つので撮りがいがあってお気に入りの生きもののひとつです。
生息地:相模湾以南の南日本、インド・西太平洋
ガラスハゼ Bryaninops yongei

「ガラスハゼ」はムチカラマツをホストとして住むハゼで、英名はWhip coral goby。Whip coralはムチカラマツのこと、gobyはハゼのことなので、なんと英名をそのまま訳すと「ムチカラマツハゼ」になります。
伊豆でも沖縄でもとてもよく観察でき、ムチカラマツの2本に1本には住んでいる姿を見かけるくらい生息している印象です。
ガラスハゼの仲間には見た目のよく似た複数種が存在していますが、ホストによってある程度住み分けがあり、伊豆の海でムチカラマツに生息するのは大体この「The・ガラスハゼ」です。

とてもよく見るのであまり顧みられない種類ではありますが、透明な体、青抜き・黒抜き写真を撮りやすい生息環境など、かなり撮影の極めがいのある種類です。
ガラスハゼ撮影の道のりは長そうです。

実は結構ちゃっかりしており、卵を産むときはホストのムチカラマツのポリプを剥いでしまい、その上に産卵します。
これはサンゴの上に住むハゼに共通する特徴で、ポリプをそのままにしていると卵をポリプに食べられてしまうことへの対策と考えられます。
生息地:伊豆諸島、千葉県~屋久島、琉球列島、インド・太平洋
まとめ

*ムチカラマツはサンゴの仲間
*ムチカラマツにはたくさんの生きものが住んでいる!
今回はムチカラマツに住んでいる生きものをご紹介しました。
どの種類も特徴があっておもしろいですし、何より自分でサーチして見つけられた時の喜びはとっても大きいです!
皆さんもぜひ探してみてください!!
※本記事を執筆するにあたり使用した参考文献
峯水亮(2013)「サンゴ礁のエビハンドブック」文一総合出版
加藤晶一・奥野淳兒(2001)「エビ・カニガイドブックー伊豆諸島・八丈島の海からー」ティビーエス・ブリタニカ
川本剛志・奥野淳兒(2003)「エビ・カニガイドブック2ー沖縄・久米島の海からー」阪急コミュニケーションズ
鈴木寿之・渋川浩一・矢野維幾(2021)「新版 日本のハゼ」平凡社




