今回は、海水水槽において水槽別に何匹くらいのお魚を飼育できるのかについてお話ししていきます。
本記事で分かること
・海水魚の飼育匹数の考え方について
・水槽別の目安
・飼育数を増やす方法
飼育匹数の考え方について
飼育数の目安
海水魚の飼育匹数の目安は単純です。
それは、飼育水10Lにつきスズメダイくらいの小型魚1匹!です!
淡水魚はよく1Lに1匹と言われますが、海水魚は実にその10分の1なので、これは少ない数といえるかもしれません。
その理由としてはやはり水質悪化があります。
魚の数が大ければ多いほど、水質悪化の原因となる「硝酸塩」が発生しやすくなってしまうのです。
▼硝酸塩と、それを減らす方法についてはコチラ
水槽ごとの目安
水槽の大きさ(横×縦×高さcm) | 水量(L)と飼育匹数(小型魚の場合)の目安 |
---|---|
30cmキューブ(30×30×30) | 約25L 2~5匹 |
30cmキューブハイタイプ(30×30×40) | 約30L 3~5匹 |
45cm規格(45×30×30) | 約35L 3~5匹 |
45cmキューブ(45×45×45) | 約80L ~10匹 |
60cm規格(60×30×36) | 約55L 6匹程度 |
60cmワイド(60×45×45) | 約100L 10匹~ |
90cm規格(90×45×45) | 約150L 15~20匹 |
かなり大ざっぱですが、全体的な目安はこんなもんです。
ただこれは小型魚の場合なので、ハギやアイゴ、ヤッコなどの中型魚を飼育する場合は、1匹で小型魚2、3匹に相当すると考えたほうがいいでしょう。
さらに大型の魚(大型ヤッコなど)では1匹で小型魚5匹以上に相当します。
あ、ちなみに貝とかエビやヤドカリも水を汚すには汚しますが微量なので、常識的な範囲内の飼育数なら水質への影響は考えずに飼育しちゃって大丈夫です。
当然と言えば当然なのですが、魚の大きさや水槽の大きさによっても多少数が違っています。
30cmキューブ水槽でも、小さなデバスズメダイが5匹などの飼育は十分可能と考えています。
なぜなら小型水槽は水換えが非常にしやすいからです。
これについては、次で飼育できる数を増やす方法とともにお話しします。
飼育数を増やす方法
水質さえ維持できれば何匹飼ってもいい!
先ほどご紹介した飼育数の目安ですが、あれはあくまでも目安です。
というのも、硝酸塩のお話を少ししましたが、そのような水質悪化の速度を抑えるための、一般的な管理でも問題なく飼育できる目安の数が10Lに1匹なのです。
つまるところ、毎日水換えをして良い水質を維持できるなら理論上は飼育できる数はとっても多くなります。
しかし…
というのがジッサイのところなので、自分が水質を維持できる飼育匹数の妥協点を見つけるのが必要になるです。
なので、まずは10Lに1匹を守ってお魚を飼育し、その後様子を見て大丈夫そうなら生体を増やすという方法がおすすめです。
なんだかんだ言ってこの目安は余裕をもってつくられているので、これを守っていれば水質が悪くなりすぎて水換えにてんてこ舞いになることはないと言っていいでしょう。
飼育数を増やす方法
小型魚をたくさん飼育する
スズメダイや小型の遊泳ハゼ、テンジクダイの仲間などの小型の海水魚のみの飼育であれば、飼育数が多少多くなってしまってもある程度余裕があります。
またこれらの種は水質悪化に強い種も多いので、その点の心配もあまりないといえます。
これらの種なら例えば30cmキューブ水槽でも5匹程度飼育する分には全く問題ないでしょう。
▼小型水槽で飼育するのにおすすめの海水魚
水換え回数を増やす
単純かつ有効な対策がこれです。
水換えをすれば水槽にたまった硝酸塩を取り除くことができるので、お魚を増やしても水換え回数を増やせばお魚の飼育数を増やすことが可能です。
小型水槽では簡単に水換えが行えるので、その点で多少お魚の数が多くても対応しやすい面もあります。しかしそのぶん水が汚れるのも早いです。
ここは自分ができる水換え頻度を鑑みてあまり無理にならない程度で考えたほうがいいです。
▼水槽の水換えに関しては、試薬で測定して適切な頻度を調べることも大事
オーバーフロー水槽を使用する
オーバーフロー水槽とは簡単にいうと上下にふたつ水槽を重ねたもので、上の水槽をメインにして下の水槽を専用のろ過槽にすることで、水槽の総水量を稼ぐことができます。
例えば通常では水量100L程度の60cmワイド水槽も、オーバーフロー水槽だと上下合わせて総水量130Lほど確保することができます。
そのため見た目よりも多くの水量を稼ぐことができ、飼育できるお魚の数も増やすことができます。
その分お値段は高く、初期投資がかなりかかってしまうことがデメリットですね。
我が家の60cmワイドオーバーフロー水槽でも、上下の水槽と水槽台をセットで購入して75000円ほどでした。
▼私が購入したオーバーフロー水槽セット。このお店は安価にオーバーフロー水槽のセットを販売してくれているのでおすすめ
プロテインスキマーを使用する
プロテインスキマーは泡の力を使ってプロテイン(つまりタンパク質などの汚れの原因になるもの)を取り除く機材です。
タンパク質は先ほども紹介した硝酸塩のもとになるので、それをもとから取り除ける強力なろ過装置です。
なお、淡水水槽では泡がうまく発生しない関係で使用できません。
プロテインスキマーがあれば汚れが硝酸塩になる前に取り除くことが可能なので、水槽のろ過能力が大きく向上します。
つまり硝酸塩を溜まりにくくすることができるので、水槽に収容できるお魚の数に余裕を持たせることができます。
例えば、我が家では以前60cm規格水槽(目安は6匹)で11匹のお魚を飼育していたことがあるのですが、この時まさにプロテインスキマーを使用していました。
でも目安より2、3匹多く飼育する分には、十分に働いてくれるでしょう。
プロテインスキマーは高価な機材なのですが、サンゴ飼育をするならできればあったほうがいいですし、飼育数に少し余裕を持たせたり、飼育水の溶存酸素を増やしたりとメリットがたくさんなので、ぜひ導入することをおすすめします。
▼おすすめの「海道達磨」。水槽に外掛けでも設置できて性能も素晴らしいです。お値段は2万円弱と多少高価
▼お値段を抑えたいという場合は性能は落ちますがエアリフト式の「海道河童」もおすすめ。お値段は5000円くらい
増やしすぎは禁物
話の腰を折ってしまうのですが、お魚の増やしすぎは禁物です。
というのも、私は60cm規格水槽でプロテインスキマー付きで11匹のお魚を飼育していたのですが、この水槽では普通に水換えをするだけでは硝酸塩が減らせないレベルまで出てしまっていたんです。
結果的に「炭素源の添加」という方法で硝酸塩を減らしたのですが、水換え以上に管理が必要な状態は正直めんどくさくもあります。
▼硝酸塩とそれを減らす方法について
▼炭素源で硝酸塩を減らす方法について
なので、飼育数を増やしすぎてしまうことには注意したほうがいいです。
具体的には目安よりも2、3匹多いくらいだとプロテインスキマーの利用や水換え次第でどうにかなりますが、私は目安よりも5匹も多く飼育してしまっていました。
しかも11匹の中にはヒフキアイゴという中型のお魚もいたので、水質悪化スピードは相当なものだったはずです。
このようなことになって水槽の管理に追われて楽しめなくなるようでは意味がないと個人的には思いますし、もったいないなと感じます。
なので「そこそこまあまあ」な管理でたっぷり楽しめて、お魚たちも元気に過ごせるように、飼育数は控えめにするのがおすすめです!
まとめ
*飼育数の目安は10Lに小型魚1匹
*中型魚や大型魚の場合は1匹で小型魚3匹や5匹分以上にも匹敵する
*小型魚を群泳させれば飼育数を増やせる
*オーバーフロー水槽の使用で水量を増やすことで飼育数にも余裕を持たせられる
*水換え頻度次第で水質の維持も可能
*プロテインスキマーの使用でろ過能力UP!
*でも増やしすぎは禁物
今回は海水水槽で飼育できるお魚の数の目安を紹介しました。
工夫次第で飼育数は増やすことは十分に可能ですが、増やしすぎは管理にてんてこ舞いになってしまう可能性があり禁物です。
お魚を増やしたかったらまずは10Lに1匹で飼育してみて、そこから増やしたかったらその後ろ過を強化したりして自分にとって負担にならない程度に増やすのがおすすめです!