【奄美大島】サソリモドキの”毒”はめっちゃ濃いお酢〈マリラバ生物探訪〉
アマミサソリモドキ

アマミサソリモドキ Typopeltis stimpsonii
目:サソリモドキ目 Thelyphonida
科:サソリモドキ科 Thelyphonida
属:サソリモドキ属 Typopeltis
奄美大島に生息しています。沖縄には近縁種のタイワンサソリモドキが生息しており、以前は同種とみられていたそうです。夜行性で、昼間は石や倒木の下に隠れていますが、夜は外に出てきて昆虫などを捕食します。今回は奄美大島でのナイトツアー中に道路上で複数回見かけることができました。
またあくまでも「サソリモドキ」であって「サソリ」ではありません。ただサソリと同じくクモ綱には属しているため、分類的にものすごく遠いわけでもありません。
ちなみにサソリモドキはウデムシ、ヒヨケムシと共に世界三大奇蟲にも数えられています。それほどに特異な見た目をした生物、ということですね。
サソリは尾の先に針を持ちますが、サソリモドキは針は持たず、代わりに細く長い尻尾を持ちます。そして危険を感じると尻尾の先から毒液を噴射します。

そしてナイトツアー開始後間もなく、林道に入ったあたりで道路上をてくてく歩いている個体を発見。
腕に乗せたりしてしばらく触れ合っていると…
酸っぱ!!!!!
気づかぬうちに毒液が噴射されていたようです。そうなのです、サソリモドキが噴射する毒液は「酸」です。
成分としては酢酸81.7%、カプリル酸5.4%、水12.9%であり、ほとんどは酢酸。これは食酢の成分でもありますが、食酢では酢酸濃度は4~6%とのことなので、それの15~20倍の濃さ、ということになります。
実際の臭いも「酢を直接嗅いだ時のさらに濃いやつ」という感じでした。
ちなみに、この酸が直接皮膚についたり目に入ったりすると相当マズイことになるようなので、サソリモドキと触れ合う際は刺激しすぎないように注意が必要です。

ただ、刺激せず普通に触れ合っている分には向こうから積極的に噴射してくることはなく(今回は知らぬ間にやられてましたが…)、実際手に乗せたりして触れ合いました。
サソリモドキは以前から知ってはいたのですが、実物を見たのは初めてだったので、とても興奮しました!
ナイトツアーでは他の生きものもたくさん見たので、これからもご紹介していこうと思います。
ちなみに今回の記事はリュウキュウコノハズクの記事と同様、Nature-Experienceさんを利用してナイトツアーに参加した際のものです。ガイドのてっさんさんが生きものとその生息地にとっても詳しく、「○○が見たい!」とリクエストすれば必ず案内してくださいますよ!
江崎悌三(1940)サソリモドキの分布、Acta Arachnologica、5(2)、p.91-99
Hideki ITOKAWA・Rokuro KANO・Shigeru KANEKO・Terumi NAKAJIMA・Tadashi YASUHARA・Sonden YONABARU(1981)Chemical investigation of the spray of the Asian whipscorpion TyPoPeltis crucifer Pocock, 1894、Medical Entomology and Zoology、32(1)、p.67-71
唐沢重考・緒方則彦・三浦大樹・粂川義雅・長田諭実・本多正尚(2021)アマミサソリモドキ Typopeltis stimpsonii (Wood, 1862) の分布状況および系統地理学的考察、Edaphologia、109、p.19-31
佐藤井岐雄(1941)サソリモドキの生態、Acta Arachnologica、6(3)、p.72-87

