【房総半島】クサフグの産卵とウツボ〈マリラバ生物探訪〉

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クサフグ

2025.07.房総半島

クサフグ Takifugu alboplumbeus
目:フグ目 Tetraodontiformes
科:フグ科 Tetraodontidae
属:トラフグ属 Takifugu

2025.07.房総半島

西太平洋の温帯域に広く生息し、日本沿岸ではごく一般的なフグです。

クサフグ自体は周年観察できますが、今回は房総半島の某所に産卵を見に行ってきました。

海岸に打ちあがりながら産卵する。2025.07.房総半島

クサフグは初夏、5~7月ごろの大潮の前後数日、満潮の2~3時間前に海岸に集団で集まって産卵します。

満潮の3時間ほど前に産卵場所に到着するとすでに海中には1000匹単位のクサフグが集まっており、そこから1時間ほど待つと産卵が始まりました。

2025.07.房総半島

みんなで寄り集まって海岸に打ちあがり、メスは卵を、オスは精子を放出します。

海面は白く染まり、独特の匂いが漂います。

ウツボが海岸に上陸しヘビのように動き回る。2025.07.房総半島

この海岸では産卵するクサフグを食べるためにウツボが何匹もやってきます。

ウツボは上陸してヘビのようにうねうねと動き回り、クサフグを捕食します。

フグに噛みつくウツボと、膨らんで飲まれまいとするクサフグ。2025.07.房総半島

クサフグはウツボに捕まると膨らんで飲まれまいとしますが、ウツボは咽頭顎という第二の顎を使ってクサフグを引き込み、飲み込んでしまいます。

すさまじい光景です。

ウツボが吐き出したクサフグ。息も絶え絶えになっていた。2025.07.房総半島

食べ過ぎてしまったのか、ウツボのうちの1匹がフグを吐き出してしまいました。

フグはまだ生きていましたが息も絶え絶えになっており、もう死を待つだけという状態。彼は食べられ、吐き出される前に産卵/放精できたのでしょうか?

そんな命のやり取りに思いを馳せながら、クサフグの集団産卵を観察しました。

2025.07.房総半島

ちなみにクサフグはテトロドトキシンという強力な毒を持ちますが、なぜウツボがクサフグを食べても平気なのかはわかっていません。

今後の研究で明らかになることを期待しましょう。

本記事の参考文献

安東宏徳(2018)クサフグの半月周性産卵回遊リズムの調節機構、比較生理生化学、Vol.35、No.1、p.45-51

Eiji Motohashi、Takeshi Yoshihara、Hiroyuki Doi、Hironori Ando(2010)Aggregating Behavior of the Grass Puffer, Takifugu niphobles, Observed in Aquarium During the Spawning Period、Zoological Science、27(7)、p.559-564

Masaki Asano、Chihiro Ishizaki、Taiga Tomonou、Masato Kihara、Masaaki Ito、Shino Yasukawa、Kyoko Shirai、Hikaru Oyama、Shin Izawa、Reona Kawamura、Kanae Saito、Rei Suo、Ryota Nakahigashi、Masaatsu Adachi、Toshio Nishikawa、Haruo Sugita、Shiro Itoi
(2023)Levels of Tetrodotoxins in Spawning Pufferfish, Takifugu alboplumbeus、Marine Drugs、21(4)、207

Shiro Itoi、Hiroyuki Ueda、Riko Yamada、Mitsuki Takei、Tatsunori Sato、Shotaro Oshikiri、Yoshiki Wajima、Ryuya Ogata、Hikaru Oyama、Takahiro Shitto、Kazuya Okuhara、Tadasuke Tsunashima、Eitaro Sawayama、Haruo Sugita(2018)Including planocerid flatworms in the diet effectively toxifies the pufferfish, Takifugu niphobles、Scientific Reports、8、p.1-10

瓜生知史(2011-初版第2刷)「生態観察ガイド 伊豆の海水魚」p.229

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