というわけで、今回は海水水槽限定の素晴らしい機材「プロテインスキマー」についてご紹介します!
本記事で分かること
・プロテインスキマーとは
・プロテインスキマーの形式
・プロテインスキマーのメンテナンス方法
プロテインスキマーとは
プロテインスキマーとは
プロテインスキマーとは簡単に言うと
「泡の力で海水の汚れを除去する機材」
です。
一般的なフィルターによるろ過
お魚のフンや、残ったエサなどの「タンパク質」は時間がたつと有害な「アンモニア」になり、それがバクテリアに酸化されて「亜硝酸」「硝酸」とより無害な成分に変化していきます。
この過程がいわゆる一般的な外部フィルターや外掛けフィルターによる「ろ過」です。
プロテインスキマーによるろ過
プロテインスキマーによるろ過はフィルターによるろ過よりももっと根本的です。
というのも、「プロテインスキマー」はタンパク質がアンモニアや硝酸になってしまう前に”タンパク質のまま”取り除く能力を持っているのです。
プロテインスキマーはろ過に「泡」を使います。
泡にはタンパク汚れが吸着しやすいという性質があるので、泡を意図的に発生させることでタンパク汚れを上部のカップに集め、水槽内から除去してしまうのです。
プロテインスキマーのろ過能力
機種や方式によって差異はありますが、基本的にろ過能力は「非常に高い」です。
プロテインスキマーを使用すれば飼育可能な魚の匹数を増やすこともできますし、水換えの頻度を下げることも可能。またプロテインスキマー単体でろ過を行う「ベルリン式」という水槽管理方法も可能です。
プロテインスキマーの形式
設置方法
プロテインスキマーの設置方法には
・水槽のふちに引っ掛ける「外掛け型」
・水槽内(サンプ内も可能)に設置する「水槽内設置型」
・オーバーフロー水槽のサンプ内に設置する「サンプ内設置型」
の3種類があります。
外掛け型
外掛け型はその通り、水槽のフチに引っ掛けて使うタイプです。
手軽に使うことができる分、水槽内にパイプが見えてしまったり、ろ過能力的には後述の設置型に劣るものが多いです。
といっても、機種を選べば120cm水槽くらいまでは普通に使えます。
水槽内設置型
水槽内に設置できるプロテインスキマーもあります。
水槽内のスペースを圧迫してしまうデメリットはありますが、「気軽にプロテインスキマーを試してみたい」というときにはオススメ。
ろ過能力は低めで、45cm~60cm水槽程度までの水槽に通常のフィルターのサブとして設置する使い方がメインです。
サンプ内設置型
オーバーフロー水槽のサンプに設置するタイプのプロテインスキマーは非常に大型で高価なものが多いです。
その代わりにろ過能力は非常に高く、180cm水槽よりも大きいような巨大な水槽にも使用可能なものもあります。
またそもそもサンプがないと使えませんので、対象の水槽がオーバーフロー水槽である必要があります。
オーバーフロー水槽でも45cm未満の水槽ではサンプが小さすぎて入らない可能性もありますので、機種選びは慎重に行いましょう。
泡を発生させる方式
プロテインスキマーには「エアーリフト式」「ベンチュリ―式」の2つの方式があり、一般的には以下の表のような能力になっています。
外掛け型 | 設置型 | |
エアーリフト式 | ろ過能力:△ | ろ過能力:△ |
ベンチュリ―式 | ろ過能力:○ | ろ過能力:◎ |
もちろん商品によって差はありますが、基本的にエアーリフト式は値段が安く設置も簡単ですが、能力が低いです。
逆にベンチュリ―式は値段が高く設置が面倒なものもありますが、能力はかなり高く、エアーリフト式に比べると圧倒的です。
細かいことはこの後に説明しますが、とりあえず「ベンチュリ―式のほうがろ過能力がずっと高いけど値段も高い!」と覚えてもらえば大丈夫です。
エアーリフト式
「エアーリフト式」はスキマー本体の中に設置した「ウッドストーン」という四角い木の欠片の中に空気を送ることで、木の隙間からきめ細やかな泡を発生させる方式です。
タンパク質を除去する能力は後述の「ベンチュリー式」には圧倒的に劣りますが、値段が安価で手を出しやすいのがGOODポイント。
またサイズが小さいため小型水槽にも利用できます。
▼海道河童やマメスキマーはエアーリフト式のプロテインスキマーの代表的な商品
これだけ聞くといいように感じますが、エアーリフト式に必要な「ウッドストーン」は劣化するうえ、表面にコケが生えることから定期的に交換が必要になります。
交換頻度は1か月程度で、きめ細やかな泡が出てこなくなった頃合いで交換します。ただ、カッターなどで表面を削ることで1、2回分は延命できるようです。
ただ交換そのものが不要になるわけではないので、ランニングコストはどうしてもかかってしまいます。
またウッドストーンに空気を送るために、スキマー本体とは別にエアポンプが必要になります。
必要な道具が多いのもやや面倒なポイント。
設置方法は「外掛け型」と「水槽内設置型」があります。
色々まとめるとこんな感じ。
エアーリフト式 プロテインスキマー | |
ろ過能力 | プロテインスキマーとしては低い ★★☆☆☆ |
初期コスト | 安い ~10000円 ★★★★☆ |
ランニングコスト | 電気代のほか、ウッドストーンの定期交換が必要 ★★☆☆☆ |
設置方法 | 外掛け型 or 水槽内設置型 |
総合評価 | 小型水槽 or 初めて に向いている ★★★☆☆ |
ベンチュリー式
「ベンチュリー式」はスキマー本体の中にあるポンプに空気を引き込んで、強力に大量のきめ細やかな泡を発生させる方式です。
非常に大量の泡を作り出せるほか、ポンプで本体の中に飼育水を引き込むので、非常にろ過能力が高いことが特徴です。
またサイズが大きく、値段も高めなことが特徴。安いもので2万円程度します。
▼海道達磨などは代表的なベンチュリー式スキマー
ランニングコストは電気代以外でかかるものはありません。
ただ本体そのものは大きいので、設置できる水槽は限られます。目安は60cm水槽以上ですね。
エアーリフト式とは異なり、本体とは別に購入しなければならないものはありません。
設置方法は「外掛け型」と「サンプ内設置型」があります。
色々まとめるとこんな感じ。
ベンチュリー式 プロテインスキマー | |
ろ過能力 | 非常に高い ★★★★★ |
初期コスト | 高い 20000円~ ★★☆☆☆ |
ランニングコスト | 電気代のみ ★★★★☆ |
設置方法 | 外掛け型 or サンプ内設置型 |
総合評価 | 大型水槽 or ろ過能力強化 に向いている ★★★★☆ |
プロテインスキマーのメンテナンス方法
メンテナンスについてはどの設置方法、泡の発生方法でもほぼ共通なので、まとめてご説明します。
日常のメンテ
日常のメンテナンスはひとつだけ。それは「汚水カップの洗浄」です。
プロテインスキマーを稼働させていれば、泡によって上部の汚水カップに汚泥・汚水が集まります。
カップは外せるようになっているので、ある程度溜まってきたらカップを外して水道で洗い流す。これだけです。
たまにやりたいメンテ
プロテインスキマー本体の内部にはだんだんとコケが付着したり、ゴミがたまったりしてしまうので、定期的に分解して内部を洗浄することが必要です。
といっても内部には常に水流が発生しており、そこまで汚れがついてしまうこともないので頻繁な掃除は必要ありません。
基本的に半年から1年に一度で問題ないでしょう。
まとめ
*プロテインスキマーは海水専用の超有能ろ過装置!
*設置方法は3種類
「外掛け型」「水槽内設置型」「サンプ内設置型」
*機構は2種類
「エアーリフト式」「ベンチュリー式」
*普段のメンテナンス「汚水カップ洗浄」
たまにのメンテナンス「分解洗浄」
今回はプロテインスキマーやその特徴についてお話ししました。
プロテインスキマーの購入には初期コストはかかるものの、海水水槽において使用することで確実に飼育の質を高めることができる素晴らしい製品です。
皆さんもぜひ使用してみてください!