というわけで、今回は「適切な水換えのしかた」についてお話しします。
本記事で分かること
・水換えをする理由
・適切な水換えとは
・適切な水換えのしかた
水換えをする理由
まず、皆さんはなぜ水槽に水換えが必要かご存知でしょうか。
魚を飼育していると、魚による排泄物が溜まったり、魚が水の中の成分を利用したりすることで、だんだんと水質が悪化して水が古くなっていきます。
水替えはそんな古くなった水を水槽内から取り除いて、新たな水を入れることで魚を健康に飼育するための行為です。
適切な水換えとは
淡水水槽でも海水水槽でも、水換えを考える上で大切なのは「硝酸塩」です。
魚の排泄物や残ったエサは、バクテリアの作用で
アンモニア→亜硝酸→硝酸塩
と、有害な形態からより無害な形態へと変えられます。
この硝酸塩はいわば水の汚れそのものと言え、何もしないとそのまま水槽にたまり続けます。硝酸塩はほぼ無害ですが、たまりすぎるとこれも生物にとってよくありません。
そこで「水換え」が必要なのです。
また海水水槽においては、海水に必要な成分を水換えで補給する、という意図もあります。
しかしこれは難しいサンゴでも飼育していない限りさほど問題にならないので、今回は淡水でも海水でも適用できる硝酸塩を用いた水換えの判断に絞ってお話しします。
要するに、この硝酸塩が水槽にたまりすぎないように量と頻度を調節して水換えをしていくのが最も大切なのです。
なお、今回は主に魚水槽での水換えの指標についてお話しします。サンゴも飼育する水槽では、より水質への要求はシビアになるといえます。
▼硝酸塩やその減らし方(海水水槽)については、こちらの記事で詳しく説明しています。硝酸塩を減らすということは面倒な水換えを減らすことにもつながります。
適切な水換えのしかた
水換えの目安
硝酸塩は試験紙や試薬を用いて測定することができます。
結論から言うと
飼育水の硝酸塩濃度を測って、50mg/Lか50ppm(使う試薬によって表記が違いますが、同じ意味です。)を超えたら、水換えが必要です。
「えーっ」と思うかもしれませんが、魚を飼育するのであれば安価なもので良いので、水質検査キットは購入するべきだと思います。
例えば
この試験紙タイプのものは水につけるだけで、紙の色の変化を見て硝酸塩を測ることが可能です。多少大雑把にしかわかりませんが、1000円程度で25枚入りです。縦半分に切っても十分使えるので、そうすれば50回使えるのでコスパは最強です。
これは試薬タイプのものです。いくつかの試薬を混ぜて数分待つと色が変わるのでそれを見ます。少々値は張りますが、とても正確に測れるのでステップアップにおすすめです。
2つ紹介しましたが、最初はこのうち安い方で全く問題ないと思います。
水換えの頻度と量
量について
まず、水槽の底まで水を抜いて水換えをする「全量水換え」は、基本的にしてはいけません。
なぜなら、水槽の水全部を交換してしまうと水質が大きく変わって魚のストレスになるからです。そのうえ魚を水槽からバケツに移したりする手間もかかります。
とならないように少しずつ水換えをするのが基本です。
全量水換えをするのは、例えば水槽で魚が大量死してしまったり、エサを入れ物ごとドバッと落としてしまったりして、水質の急激な悪化が見込まれる場合のみです。
そのため、基本的に1度の水換えは水槽の10%~50%程度の量に抑えましょう。
頻度について
水換えの頻度は多すぎても大変ですし、少なすぎても水質の悪化を抑えられません。一般的には1週間〜1ヶ月に1度の水替えが基本です。
詳しい頻度や量の判断の仕方はこのあと説明します。
適切な水換え頻度と量の見つけ方
適切な水換えの頻度と量は、水槽や飼っている魚の大きさ、数によって違います。
したがって、前述の目安に合わせて測定をし、それぞれの水槽に適切な頻度と量を見つけることが大切です。
簡単な方法
1番簡単なのは硝酸塩を定期的に測って、50mg/Lを超えたら水換えをするというものです。
最も単純な方法ですが、定期的な測定を忘れると「気づいたら硝酸塩がヤバい」ということになる可能性があります。
自分にあった水換えの見つけ方
例えば硝酸塩が0mg/Lの状態から8週間で50mg/Lになってしまう水槽は、2週に1度水槽の4分の1を水換えすれば、硝酸塩の量を維持できます。月に1度、水槽の半分という方法も可能です。
このように判断をするため、最初は硝酸塩のチェックは最低でも毎週、できれば数日に1度実施してメモをしておくことが重要です。
それで数ヶ月維持したら、そろそろ適切な頻度がわかってくる頃だと思います。そうしたら、その後は見つけた頻度と量に合わせて水換えをしましょう。
結局おすすめは?
水換えの頻度と量について、おすすめの値を紹介します。
それは、1週間に水槽の水量の10%です。2週間に1回20%でも構いません。つまり水量100Lの水槽なら1週間に10Lの水換えを行えばいいわけです。
上でもお話しした通り、水槽の水換えは(特に海水水槽では)生体の生きるために必要な成分を補給するという意味があります。
これらの成分を維持するために、最低でも週に10%程度の水換えをするとよいでしょう。
実際に私は、2週間に1回20%の水換えを行っています。
硝酸塩も低く保ちやすいですし、水換え時の水質変化も抑えられるのでおすすめです。
なお、この水換え頻度で硝酸塩を保てずに増えてしまうようなら、先ほど紹介したように適宜硝酸塩を測定して適切な水換え頻度を見つけましょう。
まとめ
*水換えは水質悪化を抑えるためにする
*水質検査はやっておくべき
*全量水換えはしない!1度の水換えは水槽水量の半分以下
*1週間〜1ヶ月に1度の水換えがおすすめ
*水質検査で適切な頻度と量を判断するのがおすすめ
*基本の水換え量は週に水槽水量の10%程度
適切な水換えというのは水槽によって大きく異なりますし、それを見つけるのは少し骨が折れます。
しかし水換えは淡水魚海水魚に関わらず、魚の飼育にとって最も重要といっても過言ではありません。
お魚を元気に飼育するために、お魚に優しい水換えをしましょう!