水槽のお魚やサンゴたちの体調を維持する上で水温はとても重要なものです。今回は温度を維持するために必要なクーラーについて詳細に解説していきます。
本記事で分かること
・水槽における水温維持の大切さ
・水槽用のヒーター・クーラーの選び方
・おすすめのヒーター・クーラー
水温維持の大切さ
海水魚飼育では水温の維持はとても大切です。
私たちも気温が激しく上下する日が何日も続くと体調を崩すように、お魚やサンゴたちも水温の上下で体調を崩してしまうからです。
もちろん他にも重要なことはありますが、水温さえ安定していればお魚やサンゴたちはわりと元気に飼育できます。
例えば魚では暑すぎると餌食いが悪くなったりしますし、寒すぎるとぐったりして死んでしまうこともあります。
またサンゴでも、例えばウミキノコは高水温がニガテで、水温が上がるとすぐに開かなくなってしまいます。
▼ウミキノコはソフトコーラルの中でも水温維持が大切な種類
もちろん飼育する魚やサンゴの種類にもよりますが、一部を除いてほとんどの魚やサンゴは25℃であれば大丈夫です。
これから海水魚飼育を始める方は、ろ過などのことは前提として、特に“水温の維持”を心がけることがお魚の健康につながる第一歩です。
水温維持に必要な道具
日本は四季がありますから、冬には水槽を暖かく、夏には冷たくしてやらねばなりません。
冬場の温度維持方法
もちろん冬場はヒーターの一択です。ただし「ヒーターカバー」がないと万が一生体が触れてしまったときに生体に傷をつけてしまう可能性があります。
また、「サーモスタット付きで設定温度まで水温が上がると自動で通電をやめるもの」でないと水槽が茹で上がってしまいます。
カバーやサーモスタットが別売りの場合は必ず一緒に買いましょう。
また、ヒーターには消費電力(W)によって温める強さに違いがあります。Wが大きいほど温められる水量が増えます。
目的の水温にするためには水槽の水量に対応したヒーターを購入しましょう。
例えば60センチ水槽であれば水量は60リットルほどなので、こちら↓のヒーターが適しているといえます。
このGEX NEWセーフカバーヒートナビ シリーズは、カバー付き、サーモスタット付きで温度も自由に設定できるため非常におすすめです。
▼30センチ水槽におすすめ
▼45センチ水槽におすすめ
夏場の温度維持方法
夏場の温度維持方法はいくつかあります。
冷却ファン
ひとつは冷却ファンです。
これは水が蒸発するときに周囲の熱を奪う気化熱を利用して、いっぱい水を蒸発させることで水温を下げるものです。
簡単に言うと扇風機です。冷却ファンは後で説明する水槽用クーラーよりも安価なので手軽に購入することができます。
ただ、海水水槽は塩分濃度の問題があります。
ファンによって水が激しく蒸発するので、塩分濃度がどんどん上がってしまいます。
塩分濃度が大きく変化するのは生体には負担ですし、足し水の頻度が高いとちょっと大変です。
なので冷却ファンは海水水槽にはあまりおすすめしません。しかし足し水を忘れずにこなせるのであれば電気代も商品価格も安価なので冷却ファンを選択するのも1つの手だと思います。
水槽用クーラー
もうひとつは水槽用クーラーです。水槽用クーラーの中でも形式が2種類あります。
ペルチェ式クーラー
ペルチェ式は、電気を通すと熱が片側からもう片側へ移動するペルチェ素子を用いたクーラーです。この形式のクーラーの特徴は以下のようになります。
水槽用クーラーとしては比較的安価なこと
対応水槽は60cm水槽まで
消費電力あたりの性能は高くはない
稼働音は小さめ
まず値段は60cm水槽向けのものでも2万円を切るなど、水槽用クーラーとしては安価です。しかし、それは単純に値段の数値で比較した場合で、性能あたりの値段で考えると安いわけではないです。しかし初期費用を抑えられるという点では適しています。
次に、対応水量が少なめ(~60cm水槽まで)で、かつ消費電力に対して能力が高くないという点です。ペルチェ素子はそれ自体が発熱してしまうことが理由で効率が悪いのです。したがって大きな水槽は冷やせません。
さらに注意していただきたいのが海水水槽は多くの場合、水流ポンプの水中モーターやライトなどで水が温められるので、その分も考慮すると対応水槽よりも実際には冷やせる量は少ない、という点です。
これは冷却ファンやクーラー全体に言えることです。例えばこちら↓の「テトラ クールタワー CR-3NEW」では消費電力が245Wある割に、対応水槽は30cm-60cmと見合っていません。
このように、消費電力に対して能力が高くないです。これを考えると、ただでさえ対応水量が少ないペルチェ式のクーラーでは冷却能力が不十分となる可能性があります。
ペルチェ式クーラーの冷却能力の低さは、冷却ファンなどと併用したり、クーラーとフィルターを接続する場合は断熱材をフィルターに巻いたりすることで補うなど方法はあります。
したがって「大きな水槽でもないし他のクーラーはちょっと高いし、稼働音も気になるかも」という方には、おすすめです。
ただこれは他のクーラーにも言えますが、できればご自分の水槽よりも1段階性能のよいものを購入するのがよいでしょう。
チラー式クーラー
チラー式は一般のエアコンと同じで、冷媒を用いた冷却方式です。
特徴は以下のようになります。
性能が高い
対応水量はかなり幅が広い
値段はペルチェ式などと比べると高価
ペルチェ式と比べると作動音がある
まず、値段は安いものでも3万円程はします。私が使っているクーラーもチラー式ですが、セールで29000円でした。しかし、その値段の分性能は圧倒的で、私が使っている最も安価な部類のものでも気温35℃のときに100Lを25℃に下げることが可能です(説明書より)。
ただ、チラー式のクーラーは普通のエアコンと同じ方式ですので、「ぶおおお」という作動音がします。
そこまで気にはなりませんが、敏感な方は寝室などでの使用は避けた方がいいように感じます。そして先述したように、水槽用クーラーは水中のモーターやライトの熱の影響で、記載の対応水量よりも実際に冷やせる量は少なくなります。
例えば私の運営していた水槽は60cm規格水槽で、フィルターやプロテインスキマーで増える分を考慮しても水量は60-70L程度ですが、気温35℃のときに水温を見ると26℃でキープしているようでした。説明されている対応水量は気温35℃のとき水量100Lを25℃に下げるというものです。
ちなみにGEXさんの公式サイトでは水中のモーターの電力1wにつきクーラーの対応水量1L分に相当すると説明されています。
水槽用クーラーの選び方
これに照らし合わせると、私の水槽ではフィルターの水中ポンプが10w、プロテインスキマーの水中ポンプが21wですので、それだけで60cm規格水槽の60Lと足すと91Lということになります。ここにさらにライトの熱も加わるので、キープできる水温が26℃なのも頷けるかもしれません。引用:GEXのサイトより
オススメクーラーの紹介(種類別)
冷却ファン
ペルチェ式おすすめクーラー
ペルチェ式のクーラーで特におすすめな商品はこちらです。
チラー式おすすめクーラー
チラー式では各会社が商品を展開しています。おすすめはゼンスイさんによる商品です。水槽の大きさ別に紹介します。ゼンスイさんのクーラーには2種類のシリーズがあります。
値段が比較的高めで、温度設定が0.1℃単位でできるなど性能も高い「ZCシリーズ」と、値段は比較的安めで温度設定は1℃単位にしかできなかったりと性能も多少劣る「ZRシリーズ」です。
ゼンスイさんのクーラーは補償や故障の際の対応がよかったり、オーバーホール(分解して掃除をして組み直す)を依頼できるなどアフターケアが充実しているのが特徴です。
どちらも良い商品ですし、オーバーホールや故障対応などの内容はどちらのシリーズも同様です。したがって水温の変化に敏感な生体の飼育をしていたり、よりきめ細やかな設定をしたい場合はZCシリーズ、安さを求める場合はZRシリーズを選択するとよいでしょう。
~60×30×36cm水槽
60×45×45cm水槽
90×45×45cm水槽
なお、今回紹介したものはオーバーフロー水槽ではない場合の水量を基にして計算しているため、オーバーフロー水槽のサンプによって水量が増える場合はそれに合わせてさらに大きなものも検討しましょう。
まとめ
*海水魚飼育で水温維持が非常に重要
*水温は25℃がおすすめ
*冬場の水温維持には「ヒーター」が必要
*夏場の水温維持には「冷却ファン」か「クーラー」が必要
*安価だが性能は低めの「ペルチェ式クーラー」
*高価だが性能は高い「チラー式クーラー」
この記事を見てヒーター・クーラー選びの参考にしていただけたら嬉しいです!
ここまで見ていただきありがとうございました。